100個が2ヶ月で売り切れた。喜んだ翌週に、次のロットの見積が届く。OEMの追加発注の資金繰りとは、2回目以降の製造費を、前回の売上と入金の時期に合わせて支払える状態にすることです。追加発注の時期は、残り在庫が何ヶ月で尽きるかから製造期間を引いて決めます。数量は前回の売上で支払える範囲に置きます。卸やモールへ広げると入金が遅れるので、その分の在庫と支払いを先に見込みます。ブギウギ株式会社ではスキンケアなど化粧品区分の商材で100個程度から相談できるため、2回目も小さな数量で回せます。
この記事の要点
追加発注は残り在庫の消化期間から製造期間を引いて時期を決め、数量は初回の売上で賄える範囲にします。販路を広げると入金が遅れます。
この記事でわかること
- 2回目の発注で資金が詰まりやすい理由
- 残り在庫の消化期間から発注の月を決める方法
- 100個を繰り返すか、300個へ上げるかの判断
- リピート時の条件で初回に確認しておくこと
- 卸やモールへ広げたときの入金の遅れと在庫の増え方、資金の賄い方
追加発注で資金が詰まる仕組み

初回より2回目のほうが資金は詰まりやすいです。売れている実感があるのに、手元の現金が追いつかないという状態が起きます。
支払いが入金より先に来る
追加発注の製造費は、商品が届く前か納品時に払います。一方で、追加分の売上が手元に入るのは販売の後で、モールや卸なら入金の時期がさらに後ろにずれます。出ていく現金が先で、入ってくる現金が後という順番は、初回も2回目も同じです。
中小機構の起業マニュアルは、在庫を持つ商売の資金繰りを次のように説明しています。
在庫が売れるかどうかは当然に重要ですが、販売が遅いとその分の入金が遅れることとなります。他の支払ができず、場合によっては借入なども検討しなければなりません。
出典:運転資金の考え方(小売業)|中小機構 J-Net21
初回より2回目のほうが詰まりやすい理由
初回は自己資金で製造費を払い、売上はすべて手元に残ります。2回目は、その売上が入金される前に次の支払いが来ます。売れ行きが良いほど発注を急ぎ、数量も増やしたくなるため、支払いは初回より大きくなりがちです。売上が残っているように見えても、まだ入金されていない分を数えていることが多いのです。
在庫の消化期間から追加発注の時期を決める

発注の時期は感覚ではなく、残り在庫の消化期間から決めます。残り在庫を月の販売数で割った月数から、製造期間を引いた月が発注の時期です。
残り在庫の月数から製造期間を引く
残り在庫が100個で月に20個売れているなら、消化期間は5ヶ月です。製造に約3ヶ月かかる商材なら、残り2ヶ月分になった時点で発注します。この計算を毎月やり直すと、売れ方の変化に合わせて発注の月が動きます。
| 項目 | 求め方 |
|---|---|
| 消化期間 | 残り在庫 ÷ 月の販売数 |
| 発注する月 | 消化期間 − 製造期間 |
| 余裕 | 発送と検品の分を1ヶ月足す |
発注が遅れると欠品の期間が生まれ、その間の売上がゼロになります。早すぎると在庫が二重になり、支払いだけが先に来ます。消化期間の考え方はジムのオリジナルプロテインをOEMで作る判断基準でも扱っています。
商材で違う製造期間
製造期間は商材の区分で違います。同じ計算式でも、引く月数が変わります。
| 商材 | 相談できるロット | 製造期間の目安 |
|---|---|---|
| スキンケア、ヘアケア、ボディケア、フェムケア、フレグランスの化粧品区分 | 100個程度〜 | 100個の場合、最短約1ヶ月〜 |
| メイクアップ、脱毛WAX、サプリメント、ドリンク | 1,000個〜 | 相談から納品まで約3ヶ月 |
| プロテイン | 100個〜(メーカー指定の原料タイプ・フレーバーなら50個〜) | 相談から納品まで約3ヶ月程度が目安 |
上表はブギウギ株式会社の目安です。最短約1ヶ月〜が使えるのは化粧品区分の100個に限られ、メイクアップやサプリメントには適用されません。製造期間が短い商材ほど、残り在庫を少なく保ったまま追加発注を回せます。
追加発注の数量は売上で賄える範囲で決める

2回目の数量は、前回の売上から次の支払いまでに使える現金で決めます。単価を下げたい気持ちだけで数量を上げないでください。
100個を繰り返すか、300個へ上げるか
売れ方をまだ見ている段階なら、100個をもう一度作る選択が現金を守ります。月20個以上で安定してきたら、300個へ上げて単価を下げる段階です。1,000個は、卸やモールへ広げて売り先が増えてから。数量を増やす3段階は化粧品をOEMで100個の極小ロットから作る方法で整理しています。
| 数量 | 単価の傾向 | 支払いの大きさ | 向く状況 |
|---|---|---|---|
| 100個を繰り返す | 高いまま | 小さい | 売れ方をまだ見ている |
| 300個に上げる | 下がる | 中程度 | 月20個以上で安定した |
| 1,000個に上げる | さらに下がる | 大きい | 卸やモールへ広げる |
数量を上げると単価は下がり、支払いは大きくなる
企画費や版代のような固定的な費用は数量で分散されるため、ロットが増えるほど1個あたりの単価は下がります。ただし支払う総額は数量に比例して増え、消化期間も伸びます。単価が下がる利点と、現金が長く在庫に変わる負担を同じ表で見るのが数量を決めるときの基本です。ロット別の単価の傾向は化粧品OEMの費用相場にまとめています。
リピート時の条件を初回に確認する

2回目以降の条件は、メーカーによって初回と同じとは限りません。追加発注を前提にするなら、初回の相談で確かめておく項目があります。
2回目以降の最低ロット、単価、製造期間
確認するのは3点です。2回目以降の最低ロットが初回と同じか、数量を変えたときの単価がどう動くか、製造期間が初回と変わらないか。ブギウギ株式会社では、リピート時の数量や納期についても初回の相談で扱います。見積の内訳にリピート時の条件を含めて受け取ると、あとで比較しやすくなります。
同じ処方と容器で作れるかを確かめる
追加発注で意外に見落とされるのが、同じものを作れるかという点です。既存処方と既製容器で作った商品は、処方と容器の在庫がメーカー側にあれば同じ仕様で再現できます。原料のロットが変わると色や香りがわずかに違うことがあり、全成分表示に変更が出る場合は表示の作り直しが要ります。オリジナル調合のフレグランスは原料の買い切りが前提で、使い切らない分も引き取る条件になります。処方の保管期間と原料の確保を、初回のうちにメーカーと決めておいてください。
販路を広げると入金が遅れる

自社ECだけで売っていた商品を、モールや卸へ広げると現金の戻りが遅くなります。売上が増えても、手元の現金は一時的に減ります。
自社EC、モール、卸で違う入金の時期
自社ECは決済から入金までの期間が短く、月に複数回入るサービスもあります。モールは規約で決まった締め日と支払日で入金され、卸は掛売りの入金サイトを経て手元に入ります。日数は販路ごとの規約と契約で決まるため、公式ページと契約書で確認してください。
| 販路 | 入金の時期 | 在庫の置き場 | 必要な在庫 |
|---|---|---|---|
| 自社EC | 決済後の短い期間 | 自社のみ | 少ない |
| モール | 規約の締め日と支払日 | モールの倉庫と自社 | 増える |
| 卸 | 掛売りの入金サイト | 卸先と自社 | 最も増える |
販路ごとに置く在庫が増える
モールの倉庫に納品する在庫と、自社で持つ在庫は別に要ります。卸は納品後に卸先の在庫になり、売れた分がまとまって入金される形です。販路が1つ増えるごとに、置く在庫が1か所増えると考えて数量を見積もります。モール出店時の物流と手数料の考え方はEC通販向け化粧品OEMで扱っています。
販路を広げる判断は、売上の大きさより先にリピートの有無で決めます。1品目のリピートが確認できてから広げる順序は化粧品ブランドの立ち上げ方で扱っています。
販路拡大の資金を何で賄うか
増えた在庫と遅れた入金の間を埋める資金は、順番を決めて用意します。順序は売上の再投資、運転資金の融資、販路開拓の補助金です。
売上の再投資、運転資金の融資、販路開拓の補助金の順
初回と2回目の売上を次の発注に回すのが最初の手段です。売上の実績が積み上がると、金融機関に説明できる材料が増えます。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、運転資金にも使えます。可否は審査で決まります。先に予約販売して製造費を集める進め方はOEM商品をクラウドファンディングで先に売って作る方法で扱っています。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取組にかかる経費が対象です。支払いは事業完了後の精算払いで、交付決定より前に発注や契約をした経費は原則として対象外です。追加発注の製造費を補助金で先に払うことはできず、販路を広げる段階の経費を後から一部戻してもらう制度として組み込みます。対象経費の線引きと入金までのつなぎ資金は補助金でOEM商品を作るなら精算払いの前提で組むで扱っています。申請書類の作成を報酬を得て引き受けられるのは行政書士です。資金の用意し方の全体はOEMの初回発注に必要な資金はどう用意するかで整理しています。
資金繰り表で追加発注の月を決める
発注の月と数量は、月ごとの入金と支払いを1枚の表に並べると決まります。難しい書式は要りません。
| 月 | 入金の見込み | 支払いの予定 | 月末の在庫 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 自社ECの売上 | 追加発注の製造費 | 残り80個 |
| 2ヶ月目 | 自社ECとモールの売上 | 容器と資材 | 残り60個 |
| 3ヶ月目 | モールの入金、卸の入金 | 送料と広告 | 追加分が納品 |
入金の列に、販路ごとの入金の時期を反映させます。支払いの列に追加発注の製造費を置いた月に、入金の合計が足りているかを見ます。足りない月があれば、発注の月をずらすか、数量を減らすか、融資の相談を先に始めるかを選びます。表は毎月更新し、売れ方が変わったら消化期間を計算し直します。
OEMメーカーと決めておくこと
追加発注を前提にするなら、初回の相談で次の項目を決めておきます。
| 決める項目 | 内容 |
|---|---|
| 2回目以降の最低ロット | 初回と同じか、数量を変えたときの単価 |
| 製造期間 | 初回と同じか、原料の取り寄せで伸びる条件 |
| 処方と容器の保管 | 同じ仕様で再現できる期間、原料の確保 |
| 支払いの時期 | 前払いか納品時か、分割ができるか |
| 発注の連絡 | 残り在庫が何個になったら連絡するか |
ブギウギ株式会社では、初回の相談時に追加発注の数量や納期についてもお受けしています。売れ方がまだ読めない段階でも、100個から相談できる商材なら、2回目も小さく回しながら販路を広げられます。
本記事の根拠法令・出典
| 法令・公的資料 | 位置づけ |
|---|---|
| 運転資金の考え方(小売業)(中小機構 J-Net21) | 在庫を持つ商売で販売の遅れが入金の遅れになる説明 |
| 新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫) | 事業開始後おおむね7年以内の方が対象。運転資金に使える |
| 小規模事業者持続化補助金(中小企業庁) | 販路開拓の経費が対象。精算払い |
まとめ
OEMの追加発注で資金が詰まるのは、支払いが入金より先に来る順番を2回目も繰り返すからです。時期は残り在庫の消化期間から製造期間を引いて決め、数量は前回の売上で支払える範囲に置きます。
販路を広げると入金は遅れ、置く在庫は増えます。売上の再投資、運転資金の融資、販路開拓の補助金の順で賄い、資金繰り表で発注の月を毎月見直すこと。2回目以降の最低ロットや製造期間、同じ処方で作れる期間は初回の相談で確認します。
ブギウギ株式会社ではスキンケアなど化粧品区分の商材で100個程度から、プロテインは100個からご相談いただけます。追加発注の数量と納期も、初回の見積の段階から一緒に決められます。
よくある質問
追加発注はいつ頼めばよいですか?
残り在庫を月の販売数で割った消化期間から、製造期間を引いた月に発注します。残り100個で月20個売れているなら消化期間は5ヶ月です。製造に約3ヶ月かかる商材なら、残り2ヶ月分の時点で発注し、発送と検品の分を1ヶ月足しておきます。
2回目は何個作ればよいですか?
前回の売上から次の支払いまでに使える現金で決めます。売れ方をまだ見ているなら100個を繰り返し、月20個以上で安定したら300個へ上げて単価を下げます。1,000個は卸やモールへ広げて売り先が増えてからにしてください。
2回目以降の最低ロットは初回と同じですか?
メーカーによって違い、初回と同じとは限りません。2回目以降の最低ロット、数量を変えたときの単価、製造期間の3点を初回の相談で確認してください。ブギウギ株式会社では、リピート時の数量や納期についても初回の相談で扱います。
モールや卸に出すと在庫はどれだけ要りますか?
販路が1つ増えるごとに、在庫を置く場所が1か所増えます。モールの倉庫に納品する分と自社で持つ分は別に要り、卸は納品後に卸先の在庫になります。入金の時期も販路ごとの規約と契約で決まるため、在庫と入金の両方を資金繰り表に反映させてください。
追加発注の資金が足りないときはどうすればよいですか?
発注の月をずらすか、数量を減らすか、融資の相談を先に始めるかを選びます。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は運転資金にも使え、可否は審査で決まります。補助金は事業完了後の精算払いで、製造費を先に払う原資にはなりません。

