化粧品OEMとは、化粧品の製造を許可のあるメーカーに任せ、自社のブランドとして売る仕組みのことです。工場も製造の許可も持たずに、自分のブランドの化粧品を出せます。わかりやすく言えば、作るのはメーカー、売るのは依頼側という分業です。

ブギウギ株式会社では、スキンケアなど化粧品区分の5カテゴリについて、既存処方を使う場合に100個程度から相談を受け付けています。5カテゴリはスキンケア、ヘアケア、ボディケア、フェムケア、フレグランスで、メイクアップと脱毛・WAXは1,000個〜が目安です。

頼む前に知っておきたいのは、誰が何を受け持ち、容器に誰の名前が載るかです。そこが分かれば、メーカーとの最初の打ち合わせで何を決めればよいかが見えてきます。

この記事の要点

化粧品OEMは、許可を持つメーカーが製造を担い、依頼側がブランドの持ち主として売る分業の仕組みです。

この記事でわかること

  • 作る側と売る側の分担と、容器に載る2つの名前
  • OEMとODM、PB、自社製造の違い
  • OEMで手放せるものと、自社の手元に残るもの
  • カテゴリ別の最低ロットと期間の目安
  • 依頼から納品までの流れと、費用を決める要素
  • 表示と広告で依頼側に残る確認

化粧品OEMの仕組みは作る側と売る側の分業

化粧品OEMの仕組みは作る側と売る側の分業|図解

この仕組みでは、工場と許可を持つメーカーが化粧品を作り、依頼側はブランドの持ち主として売ります。依頼側が工場を建てたり、製造の許可を取ったりする必要はありません。

メーカーが担うことと依頼側が決めること

分担は工程ごとに決まっています。メーカーは処方と製造を受け持ち、依頼側はブランドと売り方を決めます。

工程メーカーが担うこと依頼側が決めること
処方と試作処方を提案し、試作品を作る既存処方から選ぶか新しく作るかを決め、試作品を確かめる
原料と製造原料を手配し、製造と充填(容器に詰める作業)を行う数量と納品の時期を決める
表示全成分表示をはじめ、法律で決まった表示を作る表示の内容を確かめる
ブランド名とデザイン容器の仕様を提案するブランド名と、容器やパッケージの見た目を決める
価格と販路―販売価格と売り場を決める
広告の言葉―商品ページやSNSで使う言葉を決める

メーカーが製造を引き受けられるのは、薬機法の化粧品製造業の許可を持っているからです。この許可がなければ、業として化粧品を作ることはできません。

医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造をしてはならない。

出典:医薬品医療機器等法 第13条(e-Gov法令検索)

製造業の許可は、工場などの製造所ごとに与えられます(同条第2項)。ブギウギ株式会社では、製造は提携工場が担います。ロゴやパッケージデザイン、ECサイトの構築まで、製造と一貫して依頼できます。

製造販売元と販売元は容器に載る2つの名前

化粧品の容器には、製造販売業者の名称と住所を載せる決まりがあります。OEMでは通常、この欄に委託先のメーカーの名前が入ります。

化粧品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。 一 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 二 名称 三 製造番号又は製造記号 四 厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品にあつては、その成分の名称 (五〜七 略)

出典:医薬品医療機器等法 第61条(e-Gov法令検索)

製造販売業者は、市場に出す化粧品の品質と安全の管理を受け持つ事業者です。依頼側はブランド名を決め、自社の名前を販売元として載せられます。購入者が棚や商品ページで目にするのは、依頼側のブランド名。

依頼側は原則として、化粧品製造販売業の許可を持たなくてかまいません。自社を製造販売元として表示したい場合は、その許可(第12条)を自社で取ることになります。申請の窓口は、都道府県の薬務担当です。許可と表示の具体例は、個人で化粧品をOEMで作るときの許可と表示で確認できます。

OEMとODM・PB・自社製造の違い

OEMとODM・PB・自社製造の違い|図解

違いは、誰が企画し、誰が処方を開発し、誰の工場と許可で作るかの3点で決まります。PBだけは作り方ではなくブランドの持ち主を表す言葉なので、表の外で説明します。

区分企画処方の開発製造と許可
OEM依頼側が決める依頼側の仕様に沿ってメーカーが作る。既存処方から選ぶ形も含む委託先の工場と許可
ODMメーカーが提案するメーカーが開発する開発したメーカーが製造まで担う
自社製造自社で決める自社の研究開発自社工場。製造業と製造販売業の2つの許可が要る

ODMは、企画や処方の開発からメーカーが担う形を指します。OEMとODMの呼び分けは、会社によって揺れがあります。見積もりの段階で、どこまでをメーカーに任せるかを言葉で確かめておけば、食い違いは起きません。

PB(プライベートブランド)は、販売する企業が自社の名前で出す商品のことです。作り方の区分ではないので、PBの化粧品もOEMやODMで作られます。アパレルやセレクトショップの方は、アパレルブランドが自社PBコスメをOEMで作る方法を参照してください。

自社製造は、製造所ごとの製造業の許可と製造販売業の許可を、どちらも自社で取る形です。仕入れ販売やOEMと比べた選択肢は、個人起業家がコスメブランドを立ち上げる方法で比べています。

OEMで手放せるものと手元に残るもの

OEMで手放せるものと手元に残るもの|化粧品 OEM とは わかりやすく

OEMのメリットとデメリットは、任せられるものと残るものに分けると判断しやすくなります。任せられるのは設備と許可、残るのは名義と売り方の責任。

手放せるもの手元に残るもの
製造設備と工場の運営ブランド名と、販売元としての名義
化粧品製造業の許可の取得商品ページやSNSで使う言葉の責任
製造販売業の許可と、市場に出す化粧品の品質と安全の管理(メーカーが製造販売元になる場合)在庫を抱えるリスクと、販売価格の判断
処方を一から作る開発(既存処方を選ぶ場合)売り場を選び、売り続ける仕事

任せる範囲が広いほど、製造の知見は社内にたまりにくくなります。仕様の自由度も、メーカーの設備と、メーカーが持つ処方の範囲で決まります。

だからこそ、結果を大きく左右するのはメーカー選びです。最低ロット、処方の選択肢、デザインまで相談できるかの3点を見比べてください。比べ方は小ロット対応OEMメーカーの選び方で詳しく扱っています。

最低ロットと期間は化粧品のカテゴリで決まる

一般的なOEMでは、1,000個以上が目安になることもあります。最低ロットと期間は、化粧品のカテゴリと処方の作り方によって変わります。ブギウギ株式会社での目安は次のとおりです。

区分最低ロットの目安期間の目安
スキンケア、ヘアケア、ボディケア、フェムケア、フレグランス(化粧品区分)既存処方を使う場合、100個程度から相談できる100個の場合、最短約1ヶ月程度での納品が可能
コスメ・メイクアップ、脱毛・WAX1,000個〜相談から納品まで約3ヶ月程度
医薬部外品(薬用化粧品、育毛剤など)仕様により決定承認・許可工程が入るため化粧品より長い

メイクアップと脱毛・WAXは、薬機法上は化粧品でも1,000個〜が目安です。オリジナル処方で作る場合は、5カテゴリでも数量と期間を個別に相談します。スキンケア、ヘアケア、ボディケアは既製容器を使うことが前提です。

香水などのフレグランス(化粧品区分)は、受けられる会社が少ない領域です。オリジナル調合に進む場合は、原料の買い切り(使い切らない分も引き取る)が条件になります。区分ごとの違いはフレグランスOEMの区分とロットにまとめています。

商材ごとの細かい条件は、OEMの最低ロットを100個以下にできる商材にまとめています。スキンケア商品のタイプ別の進め方は、スキンケアのOEMを小ロットで始める全体像で確認できます。

依頼から納品までの流れと費用の決まり方

依頼から納品までの流れと費用の決まり方|図解

依頼から納品までは6段階。費用は、処方、容器と外装、数量、デザインの4つの要素の組み合わせで決まります。

流れは6段階で進む

依頼側の手が動くのは、処方を選ぶ場面と、表示と広告の言葉を確かめる場面です。

  1. コンセプトと販売名を決める
  2. メーカーに相談し、見積もりを取る
  3. 処方を選び、試作品を確かめる
  4. 容器とパッケージを決める
  5. 表示と広告の言葉を確かめる
  6. 製造して納品を受ける

販売名は、メーカーが製造販売の届出に記載する名称で、ブランド名とは別に決めます。届出に使う名称なので、試作と並行して早めに固めておきます。100個から作るときの具体的な手順は、化粧品をOEMで100個の極小ロットから作る方法で追えます。

費用は4つの要素で決まる

費用は一律ではなく、次の4つの組み合わせで変わります。

要素費用が動く理由
処方既存処方を選ぶか、新しく作るか。新しく作ると試作の回数が増える
容器と外装既製品を使うか、オリジナルを作るか
数量数量が少ないほど、1個あたりの単価が上がる
デザインロゴやパッケージを自社で用意するか、依頼するか

小ロットは1個あたりの単価が上がる一方で、売れ残りを抱えるリスクは下がります。費用の組み立ては化粧品OEMの費用の内訳と考え方で扱っています。初回発注の資金の用意は、OEMの初回発注に必要な資金の用意の仕方にまとめています。

立場によって変わる点と次に読む記事

仕組みは立場を問わず同じです。変わるのは、適用される広告や販路のルール。個人、起業家、SNS、EC、PBの読者は、化粧品ブランドの立ち上げ方を決める2つの問いで進む道を選べます。

サロンやクリニック、海外展開を考えている方は、次の表から直接進んでください。

立場立場で変わる点次に読む記事
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クリニック医療広告ガイドラインクリニック専売コスメをOEMで作る方法
EC通販モールの掲載規約EC通販向けの化粧品OEM
D2C、インフルエンサーステルスマーケティング規制D2Cコスメブランドの立ち上げ方/インフルエンサーのコスメブランドの作り方
個人、起業家まず試すか、作ると決めているか個人で化粧品をOEM小ロットから作る方法/個人起業家のコスメブランドの立ち上げ方
アパレル、セレクトショップ自社のPBとしての位置づけアパレルブランドの自社PBコスメ
海外展開輸出先の国ごとの規制化粧品OEMで海外展開する方法

表示と広告で依頼側に残ること

表示と広告で依頼側に残ること|図解

製造販売元がメーカーでも、化粧品を売るのは依頼側です。表示の内容を確かめることと、広告の言葉を判断することは、依頼側の仕事として残ります。

全成分表示の根拠は、平成12年厚生省告示第332号。化粧品で名称を記載する成分を「配合されている成分」と定めているため、原則としてすべての成分が容器に載ります。

表示の版下(印刷の元になるデータ)はメーカーが作ることが多いものの、最終確認を誰が行うかは発注前に決めておきます。販売元として自社の名称と連絡先をどう載せるかも、同じ時点で決めてください。

広告の言葉には、薬機法第66条が適用されます。条文の主語は「何人も」で、メーカーに限らず、広告を出す依頼側にも及びます。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

出典:医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)

化粧品で表現できる効能は、厚生労働省の通知が定める56項目の範囲に限られます。使える表現と使えない表現の例は、小ロットの化粧品で注意する表現で確認できます。

化粧品は、人体に対する作用が緩和なものと定義されています(第2条第3項)。薬用として効能を広く訴えたい場合は医薬部外品となり、品目ごとの承認が必要です。区分の違いは医薬部外品と化粧品の境界線で解説しています。

表現に迷ったときは、都道府県の薬務担当の窓口や、薬機法に詳しい専門家に確認してください。

本記事の根拠法令・出典

法令・公的資料位置づけ
医薬品医療機器等法 第2条(e-Gov法令検索)化粧品の定義(第3項)
医薬品医療機器等法 第12条(e-Gov法令検索)化粧品製造販売業の許可
医薬品医療機器等法 第13条(e-Gov法令検索)化粧品製造業の許可と、製造所ごとの許可
医薬品医療機器等法 第61条(e-Gov法令検索)化粧品の直接の容器に記載する事項
医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)虚偽または誇大な広告の禁止
平成12年厚生省告示第332号(厚生労働省)全成分表示の根拠
化粧品の効能の範囲の改正について(厚生労働省)化粧品で表現できる効能の範囲(56項目)

まとめ

化粧品OEMは作る側と売る側を分けるので、工場も許可も持たずに自社ブランドの化粧品を出せます。押さえておきたいのは次の3点です。

  • 容器の製造販売元には通常メーカーの名前が載り、依頼側はブランド名と販売元として載る
  • ロットと期間はカテゴリで決まる。ブギウギ株式会社では、スキンケアなど化粧品区分の5カテゴリを既存処方で100個程度から相談できる。メイクアップと脱毛・WAXは1,000個〜が目安
  • 表示の内容を確かめることと広告の言葉の判断は、依頼側に残る

作りたいカテゴリ、参考にしたい商品、希望数量、販路、発売時期が決まっていれば、相談は早く進みます。まだ決まっていない段階でも相談できます。

よくある質問

OEMは何の略ですか?

OEMはOriginal Equipment Manufacturingの略で、オーイーエムと読みます。他社のブランドの製品を受託して製造することを指します。化粧品では、処方と製造を担うメーカーに製造を委託する形を表します。

容器の製造販売元がメーカーの名前でも、自社ブランドとして売れますか?

売れます。薬機法が容器に求めているのは製造販売業者の名称と住所で、ブランド名は依頼側が決められます。自社の名前は販売元として載せる形が取れます。

化粧品の知識がなくても化粧品OEMを依頼できますか?

依頼できます。処方の提案、製造、法律で決まった表示を作る作業はメーカーが受け持ちます。依頼側に残るのは、どんな商品を誰に売るかを決めることと、表示の内容と広告の言葉を確かめることです。

広告の言葉は、化粧品で表現できる効能の範囲を超えないように、発売前に確かめてください。

口紅やファンデーションも100個から相談できますか?

メイクアップ化粧品は1,000個〜が目安です。100個程度から相談できるのは、化粧品区分の5カテゴリで既存処方を使う場合です。5カテゴリはスキンケア、ヘアケア、ボディケア、フェムケア、フレグランスです。

数量が決まっていない段階でも、作りたい商品のカテゴリを伝えていただければ条件を確認できます。

既存処方を選ぶと、ほかのブランドと中身が同じになりませんか?

同じ既存処方が複数のブランドで使われることはあります。そのうえで差が出るのは、ブランド名、容器とパッケージ、売り場、商品の伝え方です。中身そのものの違いを求める場合は、オリジナル処方として数量と期間を個別に相談します。

OEMで始めたあと、自社製造に切り替えられますか?

切り替えるには、製造所ごとの化粧品製造業の許可と、化粧品製造販売業の許可を自社で取る必要があります。OEMで使っていた処方をそのまま使えるかどうかは、委託先との契約で決まります。将来の切り替えを考えているなら、処方の扱いを契約の段階で確かめておいてください。