月会費以外に収益源を作れないか?ジム経営でオリジナルプロテインが検討される理由は、たいていここに行き着きます。ジムのオリジナルプロテインとは、受託製造会社に自店ブランドのプロテインを製造してもらい、会員向けに販売する仕組みのこと。ただし作るかどうかの判断は、味やパッケージより先に在庫を賞味期限内に売り切れるかで決まります。1,000個のロットは、会員数によっては数年分の在庫になりかねません。ロットを100個まで下げられれば、その前提は変わります。
この記事の要点
オリジナルプロテインは会員数と購入率から消化期間を試算し、1,000個で収まらなければ100個の極小ロットで始めます。
この記事でわかること
- 会員数別に見た1,000個と100個の消化期間の比較
- 在庫リスクを抑えるための内容量とSKUの決め方
- 価格設定と利益率をどう組み立てるか
- 試飲から定期購入につなげる販売動線の作り方
- 店頭やSNSで使えない訴求表現の線引き
ジムがオリジナルプロテインを持つ意味
ジムの収益は月会費に依存しやすく、会員数の増減がそのまま売上に響きます。物販は月会費以外のキャッシュポイントとして機能し、単価の高いプロテインは有力な候補となる商材です。
オリジナル化には、仕入れ販売にはない効果もあります。自店ブランドの商品を会員が日常的に使うことで接点が増え、休眠や退会の抑止につながるという見方。既製品を並べるだけでは生まれない関係性です。
一方で、仕入れ販売なら在庫を小刻みに調整できるのに対し、オリジナル製造は最初にまとまった数量を抱えます。この違いが判断の分かれ目になります。
仕入れ販売とオリジナル製造の比較
| 観点 | 仕入れ販売 | オリジナル製造 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 小さい | まとまった額が必要 |
| 在庫リスク | 小さい(追加発注で調整) | 大きい(初回ロットを抱える) |
| 利益率 | 卸値に依存 | 設計次第で高くできる |
| ブランド効果 | 限定的 | 自店の資産になる |
会員数から逆算する在庫とロットの考え方

判断の出発点は「毎月何個売れるか」です。会員数に購入率を掛けて月間販売数を求め、ロット数を割れば消化期間が出ます。
プロテインパウダーの賞味期限は、製造から12〜24ヶ月の範囲で設定されます。この期間内に売り切れる見込みがあるかを、最初に確認します。
| 会員数 | 月間購入率の想定 | 月間販売数 | 1,000個の消化期間 | 100個の消化期間 |
|---|---|---|---|---|
| 100名 | 10% | 10個 | 約100ヶ月 | 約10ヶ月 |
| 300名 | 10% | 30個 | 約33ヶ月 | 約3ヶ月 |
| 500名 | 15% | 75個 | 約13ヶ月 | 約1.5ヶ月 |
| 1,000名 | 15% | 150個 | 約7ヶ月 | 1ヶ月未満 |
この試算はあくまで目安ですが、傾向ははっきりしています。会員500名未満の規模で1,000個を一度に抱えると、賞味期限内の消化が現実的でなくなります。一方、100個なら会員100名でも約10ヶ月で消化でき、賞味期限の12〜24ヶ月に収まります。判断を分けるのは会員数ではなく、選べるロットの大きさです。
極小ロットで始める選択肢
業界ではプロテインの受注は1,000個前後が多いなか、ブギウギ株式会社ではオリジナル処方を100個からご相談いただけます。メーカー指定の原料タイプとフレーバーを使う場合は50個からです。会員100名の規模なら、50個で約5ヶ月、100個で約10ヶ月の消化期間になります。極小ロットの対象は化粧品とプロテインで、サプリメントや健康食品は1,000個からです。
トレーナーが個人名で契約する場合の許可と表示は個人でプロテインをOEMで作る方法で扱っています。女性会員が多いジムの内容量と甘さの決め方は女性向けプロテインの決め方が参考になります。
100個でも消化が読みにくい場合は、次の3つで調整します。
- 内容量を小さくする:500g前後にすると単価が下がり回転が速くなる
- 複数店舗で分け合う:系列店やグループで初回ロットを分散させる
- 時期をずらす:会員数が目標に届いてから着手する
味の種類を増やすのは避けたほうが無難です。2種類作れば1種類あたりの在庫は半分になりますが、ロットは種類ごとに必要になるため総量が倍増します。初回は1種類に絞る判断が堅実。
費用と価格設定・利益率の考え方
ジムの物販では、初期費用を月間の粗利で何ヶ月かけて回収するかが判断の軸になります。会員数から月間の販売見込みが立つため、一般的なEC販売より回収期間を読みやすいのが特徴です。
費用の水準そのものは、1,000個規模で200〜500万円程度が一つの目安です。原料タイプとパッケージ仕様で幅が出るため、内訳や原価の考え方はプロテインOEMの作り方と原料設計にまとめています。
価格設定では、原価に対して小売価格をどう置くかを決めます。ジムの物販は他店との価格比較にさらされにくい環境ですが、市販品と極端に離れた価格は会員の納得を得にくくなります。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 原価 | ロット数・原料タイプ・容量で決まる |
| 小売価格 | 市販の同等品を基準に置く |
| 粗利 | 小売価格から原価を引いた額 |
| 回収期間 | 初期費用÷月間粗利で算出する |
初期費用の回収期間を計算しておくと、判断がぶれません。月間の粗利で初期費用を割れば、何ヶ月で投資を回収できるかが見えます。この期間が賞味期限を超えるなら、ロットを下げるサインです。
二重価格表示に注意する
「通常価格」を併記して割安に見せる手法は、実際にその価格で販売していた実績がないと景品表示法の有利誤認にあたります。会員価格を設定する場合も、比較対象となる価格の実態を伴わせる必要があります。
試飲から定期購入までの販売動線

作った後に問われるのは、どう売るかです。ジムには他の小売にない強みがあります。会員が週に何度も来店し、その場で試せる環境があること。
販売動線は次の順で設計します。
- 試飲:トレーニング後のタイミングで少量を提供する
- 初回購入:その場で持ち帰れる在庫を店頭に置く
- 継続:次回来店時の受け取り予約や郵送を用意する
- 定期化:月ごとの定期購入に移行してもらう
パーソナルジムでは、店頭在庫を最小限にして郵送で届ける方式も選ばれています。持ち帰りの負担がなくなり、店舗のスペースも圧迫しません。
トレーナーからの声かけは効果が大きい一方、押し売りと受け取られると会員体験を損ないます。試飲を入り口にして、必要と感じた会員が自分で選ぶ導線を作るほうが長続きします。
店頭・SNSで使えない訴求表現
プロテインは食品であり、医薬品ではありません。ジムという文脈では身体の変化を語りたくなりますが、そこに規制がかかります。
健康増進法第65条は、健康保持増進効果について著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させる表示を禁じています。
食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
出典:消費者庁
| 使える表現 | 使えない表現 |
|---|---|
| タンパク質補給 | 筋肉がつく |
| トレーニング後の栄養補給に | 筋肥大・筋肉増強 |
| 運動をする方に | 回復を早める |
| 食事で不足しがちなタンパク質を補う | パフォーマンスが上がる |
ジム特有の注意点として、会員の体験談の扱いがあります。事業者が依頼して書いてもらった感想を、一般の口コミのように見せるとステルスマーケティング規制に触れます。令和5年10月から景品表示法で規制されており、依頼した投稿には「PR」等の明示が必要です。
ビフォーアフター写真をプロテインの効果として提示するのも避けます。トレーニングの成果と商品の効果を結びつけると、誤認を招く表示と判断されるおそれがあります。
本記事の根拠法令・出典
| 法令・公的資料 | 位置づけ |
|---|---|
| 健康増進法(消費者庁・虚偽誇大広告) | 健康保持増進効果に関する虚偽・誇大表示を禁止する |
| 景品表示法(消費者庁) | 有利誤認・二重価格表示・ステルスマーケティングを規制する |
| 食品表示法(消費者庁) | 原材料名・アレルゲン・栄養成分などの義務表示を定める |
| 食品の安全に関する情報(厚生労働省) | 食品衛生法に基づく製造・営業許可の枠組み |
まとめ
ジムのオリジナルプロテインは、味やパッケージより先に在庫の消化期間から検討します。会員数に購入率を掛けて月間販売数を出し、ロット数を割って賞味期限の12〜24ヶ月に収まるかを確認する手順です。
1,000個では会員500名未満で賞味期限を超えますが、100個なら会員100名でも約10ヶ月で消化できます。ブギウギ株式会社ではプロテインを100個からご相談いただけます。それでも読みにくい場合は、内容量を小さくする、系列店で分散する、時期をずらすといった調整で対応します。味の種類を増やすと総量が倍増するため、初回は1種類に絞ってください。
販売面では、試飲を入り口に定期購入へつなげる動線が有効です。訴求表現については、一般食品として販売する限り筋肉に関する効果を語れません。体験談やビフォーアフターの扱いにも景品表示法の制約がかかります。
よくある質問
会員数が何人いればオリジナルプロテインを作れますか?
明確な基準はありませんが、ロットの大きさで答えが変わります。1,000個を賞味期限内に売り切るには会員500名程度が目安です。100個なら会員100名でも約10ヶ月で消化できるため、規模が小さくても始められます。会員数が少ない場合は、内容量を小さくするか系列店と分け合う方法も併用できます。
ジムのオリジナルプロテインは何個から作れますか?
業界では1,000個前後からの受注が多いなか、ブギウギ株式会社ではプロテインのオリジナル処方を100個からご相談いただけます。メーカー指定の原料タイプとフレーバーを使う場合は50個からです。ロット数が未定の段階でもご相談いただけます。
費用はどのくらいかかりますか?
初期費用を月間の粗利で割ると回収期間が出るため、会員数から販売見込みを立てて計算しておくと判断しやすくなります。費用の水準は1,000個規模で200〜500万円程度が一つの目安で、原料タイプとパッケージの仕様によって幅があります。
味は何種類作るべきですか?
初回は1種類に絞る判断が堅実です。種類ごとに最低ロットが必要になるため、2種類作ると総在庫が倍になります。まず定番のフレーバーで反応を見て、リピートが安定してから2種類目を検討する進め方が無理のない流れです。
会員の体験談をSNSに載せてもよいですか?
事業者が依頼して書いてもらった感想を一般の口コミのように見せると、景品表示法のステルスマーケティング規制に触れます。依頼した投稿には「PR」「広告」と明示してください。あわせて、プロテインの効果として身体の変化を示す内容にならないよう注意します。
トレーニング効果を訴求できますか?
一般食品として販売する場合、筋肉に関する効果は表示できません。「タンパク質補給」「トレーニング後の栄養補給に」といった範囲にとどめます。ビフォーアフター写真を商品の効果として提示することも、誤認を招く表示と判断されるおそれがあるため避けます。

