乳液とクリームは、どこで線が引かれているのか?美容クリームのOEMとは、水と油を乳化させた保湿クリームを自社ブランドとして製造委託する仕組みのことです。この2つを分けているのは配合する成分の種類ではなく、油分と水分の比率、つまり基剤(ベース)の組み方です。化粧品として作るなら100個程度の極小ロットから相談でき、比率と乳化の型を決めるところから商品設計が始まります。その比率をどこに置くかは、感触だけでなく選べる容器まで左右します。

この記事の要点

クリームと乳液を分けるのは配合成分ではなく油分と水分の比率です。化粧品区分なら100個程度から作れ、乳化の型が使用感を決めます。

この記事でわかること

  • クリーム・乳液・ジェルクリームを分ける油分と水分の比率
  • O/WとW/O、2つの乳化の型が使用感と安定性に与える違い
  • 硬さを決める処方要素と、容器選びとの相性
  • 企画から納品までの流れと、小ロットで作るときの前提
  • 化粧品として書ける表現と、薬用クリームとの区分の違い

美容クリームをOEMの小ロットで作るには

美容クリームをOEMの小ロットで作るなら、狙う感触を先に言葉にしてから、それに合うベース処方を選ぶ順番が近道です。クリームは化粧品に分類されるため、メーカーが持つ既存の乳化ベースを使うなら、100個程度の少量から製造委託できます。

クリームのOEMは、油剤・乳化剤・水相の組み合わせでできたベース処方に、うるおい成分や香りを加えて自社ブランド向けに仕上げる方式が一般的です。化粧水や美容液と違い、中身そのものに厚みや硬さがあるため、感触の設計がブランドの印象を左右します。

ブギウギ株式会社では化粧品区分のスキンケアOEMに限り100個程度から相談を受け付けており、個人事業主からのご相談もお受けしています。スキンケア全体の組み立てはスキンケアをOEMの小ロットで始める全体像、うるおいを与える工程を担う化粧水は化粧水をOEMの小ロットで作る手順を参照してください。

なお、100個・最短約1ヶ月という条件が当てはまるのは化粧品として作る場合です。薬用クリーム(医薬部外品)として承認を取る場合は、審査や許可の工程が加わるため、この条件は適用されません。区分の違いは医薬部外品と化粧品の違いで整理しています。

クリーム・乳液・ジェルクリームは油分と水分の比率で分かれる

クリーム・乳液・ジェルクリームは油分と水分の比率で分かれる|図解

クリームと乳液を分けているのは、配合する美容成分ではなく、水と油のどちらがどれだけ入っているかという比率です。この比率は連続量なので、両者の境界は法律で定められた線ではなく、感触と役割による慣習的な区切りにあたります。

エマルション(乳化物)とは、本来は混ざり合わない水と油を、乳化剤の働きで細かく分散させて安定させた状態のことです。スキンケアの多くはこのエマルションで、油分の比率を上げるほど、みずみずしさから重さのある感触へと連続的に変わります。

剤形水と油の関係感触主な役割
化粧水ほぼ水性。油分はごく少量みずみずしいうるおいを与える
乳液水が多く油が少なめの乳化物とろみがあり、のびが軽いうるおいを保つ
ジェルクリーム水性ゲル基剤が主体。油分は控えめぷるっとして軽い軽い保湿・べたつきを抑える
クリーム油分の比率が高い乳化物こっくりして密着する皮膚を保護し、乾燥を防ぐ
バーム状ほぼ油性。水をほとんど含まない硬く、被膜感がある部分的な保護

商品名として「クリーム」「ジェルクリーム」「バーム」のどれを名乗るかは自由に決められます。ただし読者が手に取ったときの評価は中身の感触で決まるため、名前より先に比率を決めたほうが、狙った感触に近づきます。

美容液との切り分け

美容液とクリームは、個性を出す場所が異なります。美容液は「何を入れるか」という目的成分の選択で差がつくのに対し、クリームは「基剤をどう組むか」という土台づくりで差がつきます。

同じうるおい成分を使っても、水の多いベースに入れるか油の多いベースに入れるかで、仕上がりの印象は別物になります。成分を軸にした差別化の考え方は美容液をOEMの小ロットで作る進め方で扱っています。1品にまとめる選択肢を検討しているなら、オールインワンのOEMで統合できる機能と捨てる機能も判断材料になります。

エマルションの型で使用感と安定性が決まる

エマルションの型で使用感と安定性が決まる|図解

乳化には大きく2つの型があり、どちらを選ぶかで肌にのせた瞬間の印象と、製品としての安定性の考え方が変わります。水の中に油が分散しているか、油の中に水が分散しているかという違いです。

乳化の型構造肌にのせた印象向いている設計
O/W型(水中油型)水が外側、油の粒が内側みずみずしく、のびが軽いデイリー使いのクリーム・乳液
W/O型(油中水型)油が外側、水の粒が内側密着感があり、しっとり続く保護重視・水に触れる場面

外側にある相が最初に肌へ触れるため、同じ油分量でも型が違えば感触は変わります。一般的な保湿クリームはO/W型が主流で、W/O型は密着感や耐水性を求めるときに選ばれます。

安定性の確認に時間がかかる理由

乳化物は、時間や温度の変化によって分散していた粒が集まり、分離やクリーミング(層に分かれる現象)が起きることがあります。そのため試作後には、温度を上下させる試験や一定期間置いての経時確認を行い、中身が変化しないかを見ます。

化粧水のようなほぼ水性の処方に比べると、この確認工程に時間の余裕を見ておく必要があります。既存のベース処方を使うほど、この部分は短く収まります。逆に乳化のバランスを一から組み直す場合は、試作と確認の往復が増える前提で計画してください。

乳化剤と「界面活性剤不使用」の訴求

乳化には、非イオン界面活性剤を中心とした乳化剤が使われます。一方で、水性の増粘ポリマーで油分を抱え込む方法など、一般的な乳化剤を使わない処方も存在します。

「界面活性剤不使用」といった訴求を打ち出す場合、何を指してそう呼ぶのかを社内で定義しておいてください。定義があいまいなまま表示すると、実態と表示がずれて景品表示法上の優良誤認と判断されるおそれがあります。

硬さを決める処方要素と容器の相性

硬さを決める処方要素と容器の相性|美容クリーム OEM

クリームの硬さは油分量だけでは決まらず、どの油剤を使い、どの増粘要素を組み合わせるかで作り込みます。硬さは容器の選択肢を直接しばるため、両者は同時に詰めていく項目です。

硬さと感触を作る要素

要素役割感触への影響
油剤の種類(エステル油・炭化水素・植物油・シリコーン)油相の骨格軽さ・重さ、すべりの質を左右する
高級アルコール類・ワックス硬さとコシを出す増やすほどしっかりした立ち上がりになる
水相の増粘剤(ポリマー・多糖類)とろみを付けるみずみずしさを残したまま厚みを出せる
乳化剤の種類と量粒の細かさを決めるきめ細かいほど、なめらかな印象になる

同じ「しっとり」でも、油剤で作るしっとりとワックスで作るしっとりは別の感触です。試作の段階では言葉だけで詰めず、複数案を並べて塗り比べる進め方が確実です。

容器は中身の硬さから逆算する

容器向いている硬さ留意点
ジャー(クリーム容器)硬め〜こっくり開口部が広く見栄えする。すくって使う前提
チューブ中程度〜やや硬め押し出せる粘度に収める必要がある
ポンプ・ディスペンサーやわらかめ硬すぎると吐出しない。粘度の上限がある
スパチュラ付きジャー硬め高価格帯の演出に向く

先に容器を確定させると、処方の自由度がそこで固定されます。容器と中身は同時に決めるのが原則で、どちらかを譲れない条件にするなら、もう一方を早い段階でメーカーに共有してください。

単価に影響する要素

要素単価への影響
油剤・機能性成分の構成高機能な原料ほど中身の原価が上がる
硬さの作り方特殊な油剤や乳化設計は中身の原価に反映される
容器の形状と機能ポンプなど機構を持つ容器は割高になりやすい
ロット数少量ほど1個あたりが割高になる
表示物・箱の仕様印刷や加飾を増やすほど加算される

クリームは仕様の振れ幅が大きく、同じ100個でも中身と容器の選び方で原価構成は変わります。金額は仕様が固まった段階での個別見積もりで確認してください。費用がどんな項目で構成されるかは化粧品OEMの費用の内訳で整理しています。

美容クリームOEMの企画から納品までの流れ

美容クリームOEMの企画から納品までの流れ|図解

美容クリームOEMの企画から納品までは、コンセプト設計から処方選定、試作、安定性の確認、容器と表示の決定を経て、製造・納品へと進みます。乳化物のため、確認工程が1つ多い点が化粧水との違いです。

全体は、おおむね次の順で進みます。

  1. コンセプト設計:誰が、どの季節に、どの工程で使うクリームかを決めます。
  2. ベース処方の選定:O/WかW/Oかを選び、狙う油分の重さを共有します。
  3. 試作・感触確認:複数の試作を塗り比べ、硬さとのびを詰めます。
  4. 安定性の確認:温度変化や経時での状態を確かめます。
  5. 容器・表示の決定:硬さに合う容器を選び、全成分表示と文言を点検します。
  6. 製造・納品:数量を確定して製造し、検品を経て納品されます。

化粧品区分で既存処方をベースにした100個であれば、ブギウギ株式会社では最短約1ヶ月程度での納品が可能です。ただし乳化のバランスを新規に組み替える場合、安定性の確認に時間がかかります。発売時期から逆算し、余裕を持って着手してください。

美容クリームOEMで注意する薬機法・表示

クリームは保湿を主目的とするため、効果への期待が表現に出やすいカテゴリです。化粧品として作る場合、油分をどれだけ増やしても、標榜できる効能効果は薬機法で定められた範囲を超えられません。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

出典:医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)

クリームで気をつける表現

言いたいこと使えない表現化粧品で使える表現
ハリ・弾力シワを改善する、シワをなくす肌にはりを与える/乾燥による小ジワを目立たなくする(評価試験済のみ)
保護・うるおい維持肌のバリアを補修する、修復する皮膚を保護する/皮膚の乾燥を防ぐ
濃厚な保湿肌の奥まで浸透して効く角質層までうるおいを与える
年齢に応じたケアアンチエイジング、若返り年齢に応じたお手入れ/肌を整える

「補修」「修復」は化粧品の効能56項目に含まれない語です。バリア機能に触れたくなるカテゴリですが、化粧品では「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を防ぐ」といった表現に置き換えます。厚生労働省が定める56項目の範囲は、成分や油分量を変えても広がりません。

薬用クリームは別の区分になる

「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」「肌荒れを防ぐ」といった効能を打ち出すなら、医薬部外品(薬用化粧品)としての承認が前提になります。この場合、ロットも納期も化粧品とは別条件になり、100個・最短約1ヶ月は当てはまりません。詳しくは医薬部外品OEMの進め方を参照してください。

「最高」「No.1」といった最大級表現も、化粧品では景品表示法と業界の公正競争規約により原則使えません。

本記事の根拠法令・出典

本記事で言及した規制・表現ルールの根拠は以下のとおりです。

法令・公的資料位置づけ
医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)化粧品を含む誇大広告の禁止(本文で条文を引用)
化粧品の効能の範囲について(厚生労働省)化粧品が標榜できる効能56項目
化粧品等の適正広告ガイドライン(日本化粧品工業会)広告表現の業界ガイドライン
化粧品公正競争規約(化粧品公正取引協議会)最大級表現の原則禁止など業界の表示ルール

まとめ

美容クリームの設計は、配合成分を選ぶ前に油分と水分の比率を決めるところから始まります。乳液・ジェルクリーム・クリームは連続した比率の上に並んでおり、どこに置くかで感触も容器も変わります。O/WかW/Oかという乳化の型を選び、硬さと容器を同時に詰めていけば、小ロットでも狙いどおりの1品にまとまります。

化粧品として作るなら100個程度の極小ロットから相談でき、ブギウギ株式会社では個人事業主からのご相談もお受けしています。薬用クリームとして効能を打ち出す場合は医薬部外品となり、条件が変わる点だけ切り分けて考えてください。落とす工程まで含めてライン化するなら、洗顔料をOEMの小ロットで作る手順とクレンジングのOEMは洗顔とは別の原理で設計するが対になります。製造だけでなく容器・パッケージ・ECサイトまで一貫してご相談いただけます。

よくある質問

美容クリームは何個から作れますか?

美容クリームは化粧品区分にあたるため、既存のベース処方を使うなら100個程度の極小ロットから相談できるメーカーがあります。ブギウギ株式会社では化粧品区分のスキンケアOEMに限り100個から相談を受け、個人事業主からのご相談もお受けしています。

まずはテスト販売できる数量から始め、反応を見て数量を増やす進め方が現実的です。

クリームと乳液は何が違いますか?

分けているのは油分と水分の比率です。乳液は水が多く油が少なめで、のびが軽くみずみずしい感触になります。クリームは油分の比率が高く、こっくりとした密着感が出ます。

配合する美容成分の種類で決まるものではありません。同じ成分でも、水の多いベースに入れるか油の多いベースに入れるかで、仕上がりの印象は変わります。

ジェルクリームも小ロットで作れますか?

作れます。ジェルクリームは水性のゲル基剤を主体にして油分を控えめにした処方で、軽い使い心地を求める層に向きます。べたつきを避けたい夏向けの商品や、男性向けの商品でも選ばれる剤形です。

こっくりしたクリームとは硬さの作り方が異なるため、狙う感触を試作で確かめながら決めてください。

クリームのOEM費用はどのくらいかかりますか?

中身・容器・パッケージ・充填加工費・送料の合算で決まり、仕様によって変動します。油剤の構成や容器の機構、表示物の仕様で原価構成が変わるため、金額は仕様が固まった段階での個別見積もりで確認してください。

小ロットは1個あたりが割高になる前提で、初回はテスト販売と割り切る考え方が現実的です。

「肌のバリアを補修する」と書けますか?

書けません。「補修」「修復」は化粧品の効能56項目に含まれない語です。化粧品では「皮膚を保護する」「皮膚の乾燥を防ぐ」「肌を整える」といった、認められた範囲の表現に置き換えます。

油分を多く配合しても標榜できる範囲は広がらないため、感触や使用シーンの描写で魅力を伝えてください。

薬用クリームも100個から作れますか?

いいえ。「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの効能を打ち出す薬用クリームは医薬部外品にあたり、承認や許可の工程が加わります。100個・最短約1ヶ月という条件は化粧品区分に適用されるもので、医薬部外品には当てはまりません。

ロットも納期も仕様ごとの個別条件になるため、区分を決める段階でメーカーに相談してください。