香りの商品を作りたいと相談したら、香水とルームフレグランスで話がまったく別になった。フレグランスOEMでは、この分岐が最初に来ます。身につけるものは薬機法上の化粧品にあたり、製造販売業の許可がある工場でしか作れません。空間に置くものは雑貨で、表示の法規制がかかりません。最低ロットも納期も許可の要否も、すべてこの区分で分かれます。どちらで出すかを決めないと、見積もりの前提が揃いません。

この記事の要点

フレグランスOEMは、身につけるものが化粧品、空間に香らせるものが雑貨に分かれます。化粧品区分なら100個から相談でき、雑貨区分は商材ごとに条件が変わります。

この記事でわかること

  • 化粧品と雑貨を分ける判定の軸と、どの商材がどちらに入るか
  • 区分によって変わる4つのこと(ロット・法規・表示義務・許可)
  • 化粧品区分で100個から相談できる条件
  • 効能をうたうと雑貨が化粧品に変わる仕組み
  • どの商材から始めるかの決め方

身につけるものは化粧品、空間に置くものは雑貨

身につけるものは化粧品、空間に置くものは雑貨|図解

判定の軸は1つです。肌や衣類につけるものか、空間に香らせるものか。この違いが法律上の扱いを決めます。

この線引きは業界の慣習ではなく、薬機法の化粧品の定義から来ています。同法は化粧品を「人の身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物」と定めています。身体に使わないものは、そもそも化粧品の定義に入りません。

区分該当する商材
化粧品香水、オードトワレ、オーデコロン、練り香水、ボディミスト、ヘアフレグランス
雑貨リードディフューザー、サシェ、アロマキャンドル、ルームスプレー、芳香剤、お香

同じ「香りの商品」でも、この2つは別の商品として扱われます。開発の進め方も、必要な許可も、書ける言葉も違います。

⚠️ 見た目や容器では決まりません。ガラス瓶にスプレーが付いていても、身につけるものなら化粧品、空間に吹くものなら雑貨です。

形が同じでも区分が分かれる例

判断に迷いやすい組み合わせがあります。同じスプレー容器でも、どこに吹くかで別の商品になります。

商材使う場所区分
ボディミスト肌化粧品
ヘアフレグランス髪化粧品
ファブリックミスト衣類・布雑貨
ルームスプレー空間雑貨

ボディミストとファブリックミストは、見た目も中身の考え方も近い商品です。それでも前者は薬機法の枠に入り、後者は入りません。同じラインで両方を出すなら、製造も表示も別建てになります。

入浴剤も訴求の内容で扱いが動きます。香りを楽しむ商品として出すか、効能をうたって医薬部外品として出すかで、必要な手続きも最低ロットも変わります。

化粧品区分は薬機法がすべてにかかる

肌につけるフレグランスは化粧品なので、製造から表示まで薬機法の枠に入ります。

化粧品区分は薬機法がすべてにかかる|フレグランス OEM

許可のある工場でしか製造できない

瓶詰めは製造行為にあたります。化粧品製造業の許可を持つ工場でなければ行えません。香料を仕入れて自分で詰めて販売する形は、この時点で成立しません。

販売する側にも化粧品製造販売業の許可が要ります。自社で取得するか、許可を持つ事業者に製造販売元として入ってもらうかを決めておいてください。

全成分表示が必要になる

容器またはラベルに全成分を表示します。加えて製造販売業者の名称と住所、内容量、製造番号も記載が要ります。

デザインを固めてから項目が入らないと分かる事態を避けるため、レイアウトの段階で枠を確保しておいてください。表示項目はデザインより先に決めるのが順序です。

100個から相談できる

ブギウギ株式会社では、化粧品区分のフレグランスについて100個程度から相談を受け付けています。この条件なら最短約1ヶ月程度での納品が可能です。

1,000個からと言われて諦めた方も多いのですが、化粧品区分のスキンケアやヘアケアと同じく、フレグランスも100個からご相談いただけます。数量の考え方は100個から作るときの前提にまとめています。

香水については、瓶詰めの工程がロットの可否を左右します。詳しくは香水OEMを100個の小ロットで作れるかはボトルで決まるを参照してください。

雑貨区分は空間に置くものが対象になる

ディフューザーやキャンドルは肌につけないので、化粧品にはあたりません。扱いが大きく変わります。

表示に関する法的な規制がない

芳香剤と消臭剤は、家庭用品品質表示法にも薬機法にも該当しません。したがって製品表示についての法的な規制がありません。

規制がないことは、何を書いてもよいことを意味しません。芳香消臭脱臭剤協議会が品質確保のための自主基準を設けており、表示の記載方法を定めています。業界で流通させるなら、この基準に沿うのが実務です。

商材ごとに条件が変わる

化粧品区分が一律100個であるのに対し、雑貨は商材で条件が分かれます。製造の工程が商材ごとに違うためです。

商材最低ロットの目安
アロマキャンドル100個〜
アロマオイル・エッセンシャルオイル100個〜
リードディフューザー、サシェ、ファブリックミスト、芳香剤商材と仕様により変わる
お香・塗香5kg(約15,000本)〜

お香だけ桁が違います。雑貨をひとまとめにして「100個から作れる」と考えると、商材によっては前提が崩れます。作りたいものが決まった段階で個別に確認してください。

区分で変わるのはロットだけではない

区分で変わるのはロットだけではない|図解

数量の話に見えて、実際は4つの項目が同時に動きます。ここを取り違えると、途中で設計をやり直すことになります。

項目化粧品区分雑貨区分
最低ロット100個〜商材ごとに異なる
適用される法規薬機法対象外(景品表示法は共通で適用)
表示義務全成分表示ほか法定項目法的規制なし(業界の自主基準あり)
必要な許可化粧品製造業・製造販売業不要

雑貨のほうが手続きは軽くなります。ただし軽いぶん、言葉の使い方で足をすくわれる場面があります。

効能をうたうと雑貨が化粧品に変わる

区分は商品の形だけで決まるものではありません。パッケージや広告に書いた内容でも動きます。

書いた内容が製品の分類を変える

パッケージに効能効果が書かれていると、その製品は化粧品または医薬部外品とみなされます。そうなると薬機法の手続きが必要になり、許可のない製造は違法になります。

雑貨として作ったルームスプレーに、身体への作用を書いてしまう。この1行で製品の立場が変わります。区分を守るのは設計時だけでなく、コピーを書く段階まで続きます。

香りの商品で書けない表現

化粧品でも雑貨でも、身体への作用は書けません。リラックス、安眠、ストレス軽減、集中力向上といった表現はすべて医薬品的な効能にあたります。

香りの系統、使う場面、まとう印象を描く方向で言葉を選んでください。「就寝前の時間に」は場面の説明ですが、「安眠できる」は効能の標榜です。この線引きが分かれ目になります。

最大級の表現も使えない

景品表示法は区分を問わず適用されます。最高、最強、No.1、完全といった最大級の表現は、化粧品分野では公正競争規約でも禁じられています。

天然、無添加といった言葉も、具体性がないまま使うと問題になります。何が入っていないのかを明示してください。

費用と納期は区分より仕様で動く

区分が決まっても金額は決まりません。同じ香水でも、容器と香料の選び方で数倍の開きが出ます。

見積もりは4つの要素に分かれる

内訳を分けて見ると、どこを調整できるかが見えてきます。

要素何で変わるか
中身香料の種類、既存かオリジナルか、賦香率
容器既製かカスタムか、ガラスの仕様、ポンプやスティックの方式
外装外箱、ラベル、シュリンク包装の有無
加工賃充填の方式、数量、検品の条件

初回の予算が限られているなら、中身を既存香料に寄せて外装へ配分してください。香りは店頭でもECでも試せません。最初に判断されるのは箱とボトル。

納期は区分ではなく工程で決まる

化粧品区分のフレグランスは、既存香料と既製容器なら最短約1ヶ月程度での納品が可能です。雑貨も工程が単純なものは同程度で動きます。

期間が延びるのは、調香から始める場合とカスタム容器を起こす場合です。どちらも型や試作の往復が入ります。急ぐなら既存香料と既製容器の組み合わせを選ぶのが確実です。

カスタム容器は数量が増えてから

オリジナルの型を起こすと初期費用がかかり、最低ロットも上がります。100個規模では割に合いません。

定番として売れる見通しが立ってから移るのが順序です。初回は既製容器のなかから世界観に合うものを選び、外箱とラベルで差をつけてください。

どの商材から始めるかは3つの軸で決まる

どの商材から始めるかは3つの軸で決まる|図解

商材が多いぶん迷いやすい領域です。次の順で決めると、見積もりまで一直線に進みます。

1. 用途を決める

身につけてもらうのか、空間に香らせるのか。ここが決まれば区分が決まります。ブランドの世界観を纏ってほしいなら化粧品区分、店舗やホテルの空間演出なら雑貨区分です。

2. 販路から容量を考える

同じ商材でも、売る場所によって適した容量が変わります。作ってから販路を決めると、容器を作り直すことになります。

販路向いている商材
自社EC・D2C香水、ボディミスト、練り香水
サロン・店舗ボディミスト、ディフューザー、サシェ
ノベルティ・記念品練り香水、サシェ、小容量の香水
空間演出・法人リードディフューザー、ファブリックミスト、芳香剤

3. 既存の香料か、調香からか

メーカーが持つ香料をベースにすれば期間が読めます。香りを一から作る場合は調香の工程が入り、原料の買い切りが前提になります。

初回は既存香料で出して反応を見て、定番化の段階でオリジナルに移る進め方も選べます。費用の考え方は化粧品OEMの費用の見方が参考になります。

まとめ

フレグランスOEMは、身につけるものが化粧品、空間に香らせるものが雑貨に分かれます。判定の軸は肌や衣類につけるかどうかで、容器の形では決まりません。

化粧品区分は薬機法がすべてにかかります。許可のある工場でしか製造できず、全成分表示も必要です。その代わり条件は明確で、ブギウギ株式会社では100個程度からのご相談をお受けしており、最短約1ヶ月程度での納品が可能です。

雑貨区分は表示の法的規制がなく手続きは軽くなります。ただし最低ロットは商材ごとに違い、お香のように桁が変わるものもあります。ひとまとめに考えないでください。

区分は書いた内容でも動きます。効能をうたえば雑貨も化粧品とみなされます。設計の段階だけでなく、コピーを書く段階まで区分を意識してください。

よくある質問

香水とルームフレグランスは同じ工場で作れますか

別になることが多い領域です。香水は化粧品製造業の許可を持つ工場でしか充填できず、アルコール濃度が高いため危険物を扱える設備も要ります。ディフューザーや芳香剤は雑貨なので、これらの要件がかかりません。両方を1つのブランドで展開する場合は、商材ごとに製造先が分かれる前提で進めてください。

雑貨なら表示は何も書かなくてよいのですか

法的な表示義務はありませんが、何も書かない運用は現実的ではありません。芳香消臭脱臭剤協議会が自主基準を設けており、業界で流通させるならこれに沿うことになります。加えて景品表示法は区分を問わず適用されるため、根拠のない表現や最大級の表現は雑貨でも使えません。

アロマキャンドルも100個から作れますか

アロマキャンドルとアロマオイルは100個程度からご相談いただけます。ただし雑貨区分の商材すべてが同じ条件ではありません。お香は最小5kg、およそ15,000本からとなり、桁が変わります。リードディフューザーやサシェは仕様によって条件が動くため、作りたいものが決まった段階で個別に確認してください。

効能を書かなければ雑貨のままでいられますか

身体への作用を書かなければ雑貨として扱われます。リラックス、安眠、除菌といった表現が入ると、化粧品や医薬部外品とみなされる可能性が高くなります。香りの系統や使う場面を描く表現にとどめてください。判断に迷う文言は、製造先または薬機法の専門家に確認してから使うのが確実です。

香りを一から作らないとオリジナルになりませんか

なりません。メーカーが持つ既存の香料から選んでも、容器とパッケージで十分に差がつきます。むしろ初回は既存香料で期間と費用を抑え、売れ行きを見てから調香に進む方が在庫リスクを抑えられます。調香を選ぶ場合は原料の買い切りが前提となり、使い切らなかった分も引き取ることになります。