入れたい機能を並べていったら、どれも中途半端になった。オールインワン化粧品のOEMとは、化粧水・乳液・美容液といった複数の役割を1品にまとめた化粧品を、自社ブランドとして製造委託する仕組みのことです。統合は機能の足し算に見えて、実際には何を残し何を諦めるかを決める作業にあたります。化粧品として作るなら100個程度の極小ロットから相談できますが、単品より処方の制約は厳しくなります。機能を全部並べてから削るのと、捨てるものを先に決めるのとでは、試作の往復の長さが変わります。
この記事の要点
オールインワンは機能を足す商品ではなく、何を捨てるかを決める商品です。統合の代償を先に決めるほど設計は安定します。
この記事でわかること
- 1品に統合したときに引き換えとして手放すもの
- 処方の安定性がどこで設計の制約になるか
- 使用感を誰に合わせるかという絞り込みの考え方
- オールインワンで出すか、ライン化して分けるかの判断軸
- 機能を並べても標榜できる効能が増えない理由
オールインワンをOEMの小ロットで作るには
オールインワンをOEMの小ロットで作るなら、入れたい機能を並べる前に、捨ててよいものを決めておく順番が確実です。オールインワンは化粧品に分類されるため、メーカーが持つ既存のベース処方を使うのであれば、100個程度の少量から製造委託できます。
オールインワンのOEMは、ジェルやジェルクリームのベース処方に、うるおい成分と香りを組み込んで自社ブランド向けに仕上げる方式が一般的です。手間を減らしたい層や、スキンケアの工程を増やしたくない層に向けた商品として、ブランドの入り口に置かれることが多いアイテムです。
ブギウギ株式会社では化粧品区分のスキンケアOEMに限り100個程度から相談を受け付けており、個人事業主からのご相談もお受けしています。スキンケア全体の組み立てはスキンケアをOEMの小ロットで始める全体像を参照してください。
100個・最短約1ヶ月という条件が当てはまるのは化粧品として作る場合です。薬用オールインワン(医薬部外品)として効能を打ち出す設計では、承認や許可の工程が加わるため、この条件は適用されません。区分の違いは医薬部外品と化粧品の違いで整理しています。
1品に統合すると何を捨てることになるか

オールインワンの設計で最初に決めるのは、入れる機能ではなく手放すものです。統合は機能を足す作業に見えますが、1つの中身ですべてを賄う以上、単品なら成立していた自由度がどこかで削られます。
| 統合で得るもの | 引き換えに手放すもの |
|---|---|
| 使う手間が減る(工程が1つになる) | 工程ごとの調整余地(肌の状態に合わせて量を変えにくい) |
| 在庫と管理がシンプルになる | 客単価の積み上げとライン購入の導線 |
| 立ち上げ時の設計が1品で済む | 処方の自由度(1つの中身で全役割を担う制約) |
| 訴求がわかりやすくなる | 個別の悩みに向けたとがり |
この対応関係を先に決めておかないと、どの層にとっても決め手を欠く商品になりやすくなります。捨てるものを決めていないオールインワンは、機能の多さを説明できても選ぶ理由を説明できません。
役割を分けたときに何ができるかを知っておくと、捨てる判断がしやすくなります。うるおいを与える工程は化粧水をOEMの小ロットで作る手順、油分でうるおいを抱える工程は美容クリームのOEMは油分と水分の比率で決まる、目的成分で個性を出す工程は美容液をOEMの小ロットで作る進め方にまとめています。
処方の安定性が設計の制約になる
オールインワンは、水・油・うるおい成分・感触の調整剤を1つの系に同居させます。系が複雑になるほど成分どうしの相性を見る組み合わせが増え、安定性を保つのは単品より難しくなります。
ジェル系のベースでよく使われる増粘ポリマーは、配合する塩類や電解質、pHの変化で粘度が変わることがあります。うるおい成分を足したら硬さが変わった、油剤を増やしたら透明感が落ちたという現象は、この相互作用によって起こります。
優先順位を持ってメーカーに行く
入れたい成分のリストを持ち込むと、両立を検証する組み合わせが増え、試作の往復が長くなります。持っていくべきなのは、譲れない1つと、譲ってよい残りを分けた優先順位のリストです。
温度を上下させる試験や一定期間置いての確認も、単品より丁寧に見る前提で日程を組んでください。既存のベース処方に寄せるほど、この工程は短く収まります。
使用感は誰の肌に合わせるかを先に決める

オールインワンで最も割れるのが使用感の評価です。さっぱりとしっとりは1品では両立しないため、どちらに寄せるかという判断が、そのままターゲットの選択になります。
| 寄せる方向 | 想定する層 | 起こりやすい不満 |
|---|---|---|
| さっぱり | 皮脂が気になる層・夏の使用・男性向け | 乾燥する季節に物足りないと言われる |
| しっとり | 乾燥が気になる層・冬の使用・年齢層高め | 夏にべたつくと言われる |
| 中間に置く | 幅広い層 | どちらの層からも決め手に欠ける |
中間を選ぶと最大公約数の使用感になり、リピートの理由が薄くなります。小ロットで試すのであれば、思い切って寄せたほうが反応の読み取りは明確です。
季節による評価の振れも見込んでおいてください。夏に発売した商品が冬に物足りないと言われるのはよくある動きで、通年で売るならどちらの季節を主戦場にするかを決めてから感触を詰めることになります。
オールインワンとライン化はどちらで出すか

1品にまとめるか、役割ごとに分けるかは、商品設計というより販売設計の判断です。読者の使い方と、ブランドとして積み上げたい客単価から逆算すると迷いが減ります。
| 判断軸 | オールインワン1品 | ライン化して分ける |
|---|---|---|
| 想定する使い方 | 手間を減らしたい層に向く | 手をかけたい層に向く |
| 立ち上げ時のSKU数 | 1つで始められる | 2品以上が必要になる |
| 客単価・継続購入 | 上限が読みやすい | 役割ごとに積み上げやすい |
| 訴求のとがり | 弱くなりやすい | 役割ごとに明確になる |
| 処方の設計難度 | 高い(1品で全役割を賄う) | 分担できるぶん低い |
分けるほうが合うと判断したなら、まずは化粧水をOEMの小ロットで作る手順と美容クリームのOEMは油分と水分の比率で決まるの2品から組み立てる形が現実的です。落とす工程まで含めるなら、洗顔料をOEMの小ロットで作る手順とクレンジングのOEMは洗顔とは別の原理で設計するが対になります。
順番で解く方法もある
どちらかを選ばず、時間軸で解く進め方もあります。まずオールインワン1品でブランドを試し、反応が出た層に向けて役割を分けた商品を足していく順序です。
既にライン化しているブランドが、入り口商品としてオールインワンを足す動きもあります。この場合は主力を食わないよう、想定する層と使うシーンを主力と分けて決めてください。
機能を積んでも訴求は強くならない
オールインワンで起こりやすいのが、役割の数を効能の数として書いてしまう誤りです。何役をまとめても、化粧品として標榜できる効能は薬機法で定められた範囲を超えません。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)
「化粧水・乳液・美容液・クリームの4役」という表記は、使い方の説明であって効能の標榜ではありません。ところが機能を並べて書き足していくと、全体として化粧品の範囲を超えた効能を約束しているように読める状態になりやすくなります。
オールインワンで気をつける表現
| 言いたいこと | 使えない表現 | 化粧品で使える表現 |
|---|---|---|
| 1品で完結する | これ1本で肌悩みのすべてを解決する | これ1本でうるおいを与え、肌を整える |
| 多機能である | シワを改善し、美白もできる | 乾燥による小ジワを目立たなくする(評価試験済のみ) |
| 保護する | 肌のバリアを補修する、修復する | 皮膚を保護する/皮膚の乾燥を防ぐ |
| 時短になる | 塗るだけで別人の肌になる | 手間をかけずにうるおいを与える |
「補修」「修復」は化粧品の効能56項目に含まれない語です。厚生労働省が定める56項目の範囲は、まとめる役割を増やしても広がりません。「最高」「No.1」といった最大級表現も、化粧品では景品表示法と業界の公正競争規約により原則使えません。
「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」といった効能を打ち出す商品は医薬部外品にあたり、ロットも納期も別条件になります。進め方は医薬部外品OEMの進め方を参照してください。
本記事の根拠法令・出典
本記事で言及した規制・表現ルールの根拠は以下のとおりです。
| 法令・公的資料 | 位置づけ |
|---|---|
| 医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索) | 化粧品を含む誇大広告の禁止(本文で条文を引用) |
| 化粧品の効能の範囲について(厚生労働省) | 化粧品が標榜できる効能56項目 |
| 化粧品等の適正広告ガイドライン(日本化粧品工業会) | 広告表現の業界ガイドライン |
| 化粧品公正競争規約(化粧品公正取引協議会) | 最大級表現の原則禁止など業界の表示ルール |
まとめ
オールインワンは、機能を足していく商品ではなく、何を手放すかを決める商品です。統合で得られる手軽さの裏側には、調整の余地や訴求のとがりを譲るという代償があります。処方の安定性という制約と、使用感を誰に合わせるかという絞り込みを先に片づけておけば、小ロットでも狙いの定まった1品になります。
化粧品として作るなら100個程度の極小ロットから相談でき、ブギウギ株式会社では個人事業主からのご相談もお受けしています。分けるほうが合うと判断した場合も、化粧水やクリームから2品で組み立てる進め方をご提案できます。製造だけでなく容器・パッケージ・ECサイトまで一貫してご相談いただけます。
よくある質問
オールインワンは何個から作れますか?
オールインワンは化粧品区分にあたるため、既存のベース処方を使うのであれば100個程度の極小ロットから相談できるメーカーがあります。ブギウギ株式会社では化粧品区分のスキンケアOEMに限り100個から相談を受け、個人事業主からのご相談もお受けしています。
ただし単品より処方の制約が多いため、試作の往復は多めに見込んで日程を組んでください。
オールインワンとライン化はどちらがよいですか?
読者の使い方と、積み上げたい客単価で決まります。手間を減らしたい層に向けるならオールインワン、手をかけたい層に向けて役割ごとに訴求を立てたいならライン化が向きます。
時間軸で解く方法もあります。まず1品でブランドを試し、反応が出た層に向けて分けた商品を足していく順序なら、初期の在庫リスクを抑えられます。
「これ1本で5役」と書けますか?
役割の数を示す表記自体は使い方の説明にあたり、効能の標榜ではありません。ただし役割ごとに効能を書き足していくと、全体として化粧品の範囲を超えた約束に読める状態になりやすくなります。
まとめる役割を増やしても、標榜できる効能は56項目の範囲のままです。書き足す前に、全体として何を約束している文章になっているかを確認してください。
オールインワンは作るのが難しいのですか?
単品と比べると制約は多くなります。水・油・うるおい成分・感触の調整剤を1つの系に同居させるため、成分どうしの相性を見る組み合わせが増え、安定性の確認に手間がかかります。
既存のベース処方に寄せれば、この負担は小さく収まります。譲れない要素を1つに絞ってメーカーに伝えると、試作が早く収束します。
オールインワンのOEM費用はどのくらいかかりますか?
中身・容器・パッケージ・充填加工費・送料の合算で決まり、仕様によって変動します。配合する成分の構成や容器の機構で原価構成が変わるため、金額は仕様が固まった段階での個別見積もりで確認してください。
1品で始められるぶん立ち上げ時の品目数は抑えられますが、1個あたりの単価は小ロットほど割高になります。
薬用オールインワンも100個から作れますか?
いいえ。「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」などの効能を打ち出す薬用オールインワンは医薬部外品にあたり、承認や許可の工程が加わります。100個・最短約1ヶ月という条件は化粧品区分に適用されるもので、医薬部外品には当てはまりません。
ロットも納期も仕様ごとの個別条件になるため、区分を決める段階でメーカーに相談してください。

