周年記念に配る香水を作りたい。この相談で最初に確認するのは香りではなく、誰にどう配るかです。購入者や来店者に配るなら景品表示法の景品規制がかかり、1個あたりの金額に上限が生まれます。取引に付随しない配布なら上限はありません。この違いを知らずに仕様を決めると、出来上がってから配れないことが分かります。無償で配るものであっても、香水は化粧品です。表示義務も製造の許可も、市販品と同じだけかかります。
この記事の要点
ノベルティの香水は、取引に付随して配るかどうかで景品表示法の限度額がかかるかが決まります。上限を先に引いてから容量と仕様を決めてください。
この記事でわかること
- 景品規制がかかる配布と、かからない配布の見分け方
- 総付景品の限度額と、1個あたりの上限の出し方
- 抽選で配る場合に適用される別の基準
- 無償配布でも化粧品の義務がそのまま残ること
- 用途ごとに向いている容量と仕様
- 配布日から逆算したスケジュールの引き方
- 決める順番を間違えたときに起きる手戻り
取引に付随するかどうかで規制の有無が変わる

景品表示法の景品規制は、すべての配布にかかるわけではありません。判定の軸は、取引に付随して渡すかどうかです。
購入者にもれなく配る、来店者に配る、契約者に配る。これらは取引に付随するため景品類にあたります。展示会での配布や周年の贈呈のように取引と結びつかないものは、この規制の外にあります。
| 配布のしかた | 景品規制 |
|---|---|
| 商品を買った人に配る | かかる |
| 来店した人に配る | かかる |
| 契約した人に配る | かかる |
| 展示会で不特定多数に配る | かからない |
| 周年記念として贈る | かからない |
| 商品として販売する | かからない(景品ではない) |
⚠️ 判定に迷う配布は、企画の段階で確認してください。仕様が固まってから対象だと分かると、容量から作り直すことになります。
総付景品の限度額は取引価額で決まる
もれなく配る形の景品は総付景品と呼ばれます。上限は取引価額に連動します。
上限の計算
消費者庁が示す基準では、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2が上限になります。
| 取引価額 | 景品の上限 |
|---|---|
| 1,000円未満 | 200円 |
| 1,000円以上 | 取引価額の20% |
3,000円の商品を買った人に配るなら、香水の価額は600円までです。この上限は仕様の上限にそのまま置き換わります。
上限が小ロットとぶつかる
ここが企画で詰まりやすい箇所です。香水を100個だけ作ると、1個あたりの原価は数量が多い場合より高くなります。固定費を少ない本数で割るためです。
取引価額が低い商品の景品にしたい場合、上限と原価が合わなくなることがあります。数量を増やして単価を下げるか、より小さい容量にするか、配布のしかた自体を変えるか。上限を先に引いてから仕様を決めると、この判断を早い段階でできます。
抽選で配るなら別の基準になる
もれなく配るのではなく抽選で当てる形は、一般懸賞として扱われます。上限の考え方が変わります。
| 取引価額 | 景品の上限 | 総額の上限 |
|---|---|---|
| 5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 懸賞に係る売上予定総額の2% |
| 5,000円以上 | 10万円 | 同上 |
抽選にすると1個あたりの上限は上がりますが、総額に別の枠がかかります。配布数を絞って単価を上げたい企画では、こちらが向く場合があります。
規制の詳細は消費者庁の景品規制の解説を確認してください。業種によっては別の基準が定められています。
ノベルティでも化粧品の義務はそのまま残る

無償で配るから簡易でよい、とはなりません。香水は薬機法上の化粧品なので、市販品と同じ義務がかかります。
許可のある工場でしか作れない
瓶詰めは製造行為です。化粧品製造業の許可を持つ工場でなければ行えません。販売しない配布物であっても、この要件は変わりません。
製造販売業の許可も必要です。自社で取得するか、許可を持つ事業者に製造販売元として入ってもらうかを決めておいてください。
表示は省略できない
容器またはラベルに全成分を表示します。製造販売業者の名称と住所、内容量、製造番号も記載が要ります。
ノベルティは容器が小さくなりがちで、表示の面積を確保しにくくなります。ロゴやメッセージを入れる前に、法定の表示項目が収まるかを確認してください。デザインより先に表示項目の枠を取るのが順序です。
効能はうたえない
配布物であっても、香りの効果を書くことはできません。リラックス、安眠、集中力といった身体への作用は医薬品的な効能にあたります。
香りの系統や使う場面を描く方向で言葉を選んでください。区分ごとの扱いはフレグランスOEMは化粧品と雑貨で条件が変わるで整理しています。
容量は配布のしかたで決まる

ノベルティは配布数が優先されるため、市販品より小さい容量が中心になります。用途ごとに向く形が違います。
| 用途 | 容量の目安 | 向いている仕様 |
|---|---|---|
| 店頭での配布・販促 | 5〜10ml | アトマイザー型。持ち運びやすさを優先 |
| 展示会・イベント | 5〜10ml | 外箱を簡素にして数量を確保 |
| 周年記念・株主向け | 15〜30ml | 外箱に予算を寄せて記念性を出す |
| ブライダル・引き出物 | 10〜20ml | 名入れやメッセージカードを添える |
小容量ほど1本あたりの容器費の比率が上がります。中身の量を減らしても、思ったほど単価が下がらないことがあります。容量と数量は両方を見て決めてください。
容量は使われ方も左右します。5mlは持ち歩いて使い切れる量で、配った相手の手元に残りにくい代わりに試してもらいやすくなります。30mlは使い切るまで時間がかかり、ブランド名が長く目に触れます。配布の目的が認知なのか体験なのかで、選ぶ容量が変わります。
数量の考え方は100個から作るときの前提にまとめています。
印象を決めるのは外箱とラベル
配る場面では、香りを試す前に見た目で判断されます。予算配分の考え方が市販品と変わります。
中身は既存香料で足りることが多い
ノベルティは長く売る商品ではありません。オリジナルの調香を入れると原料の買い切りが発生し、単発の配布とは費用構造が噛み合いません。
既存の香料から選べば期間も読めます。調香を検討する場合の判断軸はオリジナル香水をOEMで調香から作ると何が変わるかを参照してください。
外箱に予算を寄せる
同じ予算なら、中身より外装に配分したほうが受け取った側の印象は上がります。手に取った瞬間に見えるのは箱だからです。
名入れやロゴの入れ方も外装で決まります。ボトルへの直接印刷は数量が増えないと単価が合いにくく、外箱やラベルでの表現のほうが小ロットに向きます。
香りは万人向けに寄せる
不特定多数に配るノベルティでは、個性の強い香りは向きません。好き嫌いが分かれると、配った相手に使われないまま終わります。
シトラスやグリーンのように軽い系統は受け入れられやすく、場面も選びません。ブランドの世界観を出すのは香りではなく外装という割り切りが、ノベルティでは有効です。
配布日から逆算してスケジュールを引く
ノベルティには市販品にない制約があります。配る日が先に決まっていることです。
動かせない日付が起点になる
周年、イベント、展示会。配布日は動きません。だからこそ製造の期間を後ろから引く必要があります。
化粧品区分のフレグランスは、既存香料と既製容器の組み合わせなら最短約1ヶ月程度での納品が可能です。ただしこれは製造の期間で、その前に決めることがあります。
製造の前に時間がかかる工程
見落とされやすいのが、表示物の確定と印刷です。全成分表示を確定させ、外箱のデザインを固め、印刷の校正を通す。ここに製造と同じかそれ以上の時間がかかることがあります。
名入れやロゴを入れる場合はさらに工程が増えます。配布日の3ヶ月前には企画を確定させておくと、印刷の差し戻しが出ても間に合います。
予備数を織り込む
配布のときに破損や不足が出ます。必要数ちょうどで発注すると、当日に足りなくなります。
追加生産は初回と同じ単価になりません。固定費をもう一度払うことになるためです。最初から予備を含めた数量で見積もりを取ってください。
決める順番を間違えると作り直しになる

企画が止まる箇所は決まっています。次の順で決めてください。
1. 配布のしかたを決める
誰にどう配るかで、景品規制の対象かどうかが決まります。ここが決まらないと上限が引けません。
2. 1個あたりの上限を出す
規制の対象なら、取引価額から上限を計算します。対象外なら予算総額を配布数で割った値が上限になります。
3. 容量と仕様を決める
上限に収まる容量、容器、外装を選びます。法定の表示項目が入る面積を確保できているかも、ここで確認します。
4. 数量を確定する
必要数に予備を足して発注します。追加生産は初回と同じ単価にならないため、配布計画から逆算して多めに見ておくのが実務です。
まとめ
ノベルティの香水は、誰にどう配るかを最初に決めてください。購入者や来店者に配るなら景品表示法の景品規制がかかり、1個あたりの上限が生まれます。
上限は取引価額に連動します。1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の20%です。この上限が仕様の上限になるため、先に引いておくと手戻りが減ります。
無償で配るものであっても香水は化粧品です。許可のある工場でしか作れず、全成分表示も省略できません。容器が小さいノベルティほど、表示の面積を先に確保してください。
中身は既存香料で足りることが多く、予算は外箱に寄せたほうが印象に残ります。ブギウギ株式会社では化粧品区分のフレグランスについて100個程度からのご相談をお受けしており、最短約1ヶ月程度での納品が可能です。
よくある質問
展示会で配る香水にも金額の上限はありますか
取引に付随しない配布であれば、景品表示法の景品規制はかかりません。展示会で不特定多数に配る場合が典型です。ただし来場の条件に商品の購入や契約が含まれる場合は、取引に付随すると判断される可能性があります。判定に迷う配布は企画の段階で確認してください。
ノベルティなら全成分表示は省略できますか
省略できません。無償で配る場合でも香水は薬機法上の化粧品にあたり、市販品と同じ表示義務がかかります。容器またはラベルに全成分、製造販売業者の名称と住所、内容量、製造番号を記載します。小容量の容器は面積が限られるため、デザインを固める前に表示項目が収まるかを確認してください。
何個から作れますか
化粧品区分のフレグランスであれば100個程度からご相談いただけます。ノベルティは配布数が先に決まっていることが多いため、必要数に予備を足した数量で見積もりを取ってください。追加生産は初回と同じ単価にならないため、途中で足すより最初にまとめるほうが結果的に抑えられます。
ボトルに社名やロゴを入れられますか
入れられますが、小ロットでは外箱やラベルでの表現のほうが向いています。ボトルへの直接印刷は版の費用がかかり、数量が増えないと1本あたりの単価に乗ってしまうためです。外箱であれば少ない数量でも印刷しやすく、デザインの自由度も高くなります。
香りはどう選べばよいですか
配る相手が不特定多数なら、軽い系統を選んでください。シトラスやグリーンは好き嫌いが分かれにくく、場面も選びません。個性の強い香りは、受け取った側が使わないまま終わる可能性があります。ブランドらしさは香りではなく外装で表現するほうが、ノベルティでは機能します。

