「会社を持っていなくても、自分の名前でプロテインを作って売れるのか。」トレーナーやインフルエンサーとして個人で活動していると、一度は考える問いです。個人のプロテインOEMとは、個人事業主や副業クリエイターが、自分のブランドのプロテインをメーカーに少量から委託製造する仕組みのことです。製造に必要な許可はメーカーが持ち、屋号や個人名で契約できます。ブギウギ株式会社ではオリジナル処方を100個からご相談いただけます。分かれ目は作れるかどうかではなく、表示と販売の実務を最初に押さえられるかどうかです。

この記事の要点

個人でもプロテインはOEMで作れます。製造の許可はメーカーが持ち、屋号や個人名で契約でき、100個から相談できます。

この記事でわかること

  • 個人がプロテインOEMを依頼できる理由と、契約の形
  • 製造と販売で分かれる許可・届出の担い手
  • 個人が相談できるロット(100個・条件付き50個)と費用の考え方
  • 契約から納品までの流れと、自宅在庫・販路の組み立て方
  • パッケージ表示で個人が守る項目と、SNSで使えない表現

個人でもプロテインOEMを依頼できる理由

個人でもプロテインOEMを依頼できる理由|プロテイン OEM 個人

個人がプロテインOEMを依頼できるのは、製造に必要な許可と設備をメーカー側が持っているからです。依頼者が用意するのは、ブランドの企画と売り先。

プロテインは食品に分類され、粉末を配合して充填する工程には食品衛生法の営業許可が要ります。この許可を個人が取って設備を持つのは現実的ではありません。OEMなら、原料の調達から配合、充填、包装までをメーカーが担い、依頼者は企画と販売に専念できます。

法人化していなくても契約できる

契約の名義は屋号でも個人名でも構いません。ブギウギ株式会社では個人事業主からのご相談もお受けしています。開業届を出しているかどうかで、製造を頼めるかどうかが変わることはありません。

法人でないことで変わるのは、支払い条件と表示の書き方です。前払いや分割の条件、パッケージの販売者欄に何を載せるかは、契約時に確認します。

依頼者が最初に用意するもの

初回の相談で伝えると話が早いのは次の4点です。

  • 屋号またはブランド名
  • 販売予定数と売り先(自社EC・SNS・対面のどれか)
  • 作りたい味の方向(ココア系・フルーツ系など)
  • ラベルに載せたい内容(名前・ロゴ・キャッチコピー)

数量が未定でも相談はできます。売り先が決まっていると、内容量と単価の落としどころを一緒に詰められます。

製造の許可はメーカー、販売の届出は自分で確認する

製造の許可はメーカー、販売の届出は自分で確認する|図解

製造に必要な食品衛生法の営業許可は、充填と包装を行うOEMメーカーが取得しています。依頼者が製造の許可を取る必要はありません。確認が要るのは、自分が行う「販売」の側。

食品衛生法の改正で、令和3年6月1日から営業届出制度が始まりました。許可の対象でない食品営業も、原則として保健所への届出が要ります。ただし、常温で長期保存できる包装食品をそのまま販売するだけの営業は、届出不要の区分とされています。プロテインパウダーを未開封の袋のまま売る形は、この区分にあたります。

販売の形で変わる扱い

同じプロテインでも、売り方を変えると扱いが変わります。

販売の形扱い
未開封の袋をECや対面でそのまま売る届出不要とされる区分
自分で小分けや詰め替えをして売る製造行為にあたり、許可の対象
ジムやスタジオでシェイクして提供する飲食店営業などの許可が問われる

線引きは自治体の保健所が判断します。小分けや店頭提供を考えているなら、売り始める前に管轄の保健所へ確認してください。届出は手数料がかからず、有効期限もありません。

個人が相談できるロットと費用の考え方

個人が相談できるロットと費用の考え方|図解

ブギウギ株式会社では、プロテインのオリジナル処方を100個からご相談いただけます。メーカー指定の原料タイプとフレーバーを使う場合は50個からです。

業界全体では、プロテインは1,000個前後からの受注が多い商材です。一方で、極小ロットの対象はスキンケアなど化粧品区分の商材とプロテインで、サプリメントや健康食品、ドリンクは1,000個からです。同じ食品でも、粉末のプロテインは既存の原料ベースを使えるため、少量に対応しやすい構造になっています。

100個と50個の違い

100個は、原料の配合からオリジナルで設計する場合の下限です。50個は、メーカーが持つ原料タイプとフレーバーの中から選ぶ場合の下限で、味の再開発が入らないぶん少量で成立します。

数量条件向いている人
100個〜オリジナル処方配合や原料の等級にこだわりたい
50個〜メーカー指定の原料タイプとフレーバーまず反応を見たい・在庫を抱えたくない

初回は50個か100個で反応を確かめ、リピートが見えた段階で処方を作り込む順序が、個人が資金を守る基本です。原料タイプごとの違いはオリジナルプロテインをOEMで作る手順と費用相場で整理しています。

費用は5つの費目で決まる

見積もりに含まれるのは、原料費、フレーバー調整費、充填加工費、パッケージ資材費、試作費の5項目。数量が少ないほど、試作費やパッケージの版代といった固定費が1個あたりに重く乗ります。

初回のロットだけで割ると原価率は実態より悪く見えます。1年で売る想定数で按分するのか、初回の資金繰りを見るのかで、使う数字が変わります。この計算の枠組みはプロテインOEMの費用が見積もり後に動く3つの理由にまとめています。製造費の支払いと最初の入金の間をどう埋めるかはOEMの初回発注に必要な資金はどう用意するかで扱っています。期間は、通常は相談から納品まで約3ヶ月程度が目安です。

個人契約から納品までの6ステップ

個人契約から納品までの6ステップ|図解

個人の場合も流れは法人と同じで、相談から納品まで6つのステップです。違うのは、各ステップで依頼者側が用意するものが小さく済む点だけです。

ステップ1:相談と見積もり

屋号、販売予定数、売り先を伝えて見積もりを取ります。個人事業主であることは最初に伝えてください。支払い条件と契約名義の確認が、この段階で済みます。

ステップ2:原料タイプとフレーバーの選択

ホエイ(WPC)は溶けやすく味を作りやすいため、初回の定番。植物性を打ち出すならソイやエンドウが候補になります。メーカー指定の原料タイプとフレーバーから選べば50個から相談でき、味の再開発が不要です。植物性だけで作る条件はビーガンプロテインの原料と表示で扱っています。女性の利用者を想定するなら、内容量と甘さは女性向けプロテインの決め方が参考になります。

ステップ3:試作と味の確認

サンプルをシェイカーで実際に振って確かめます。水で溶かした場合と牛乳で溶かした場合で印象が変わるため、想定する飲み方の両方で試してください。

ステップ4:パッケージと表示のチェック

ラベルに載せる名称、原材料名、栄養成分表示、販売者欄を確定します。表示の項目は「パッケージ表示とSNS発信で個人が守ること」の章で扱います。

ステップ5:製造と充填

工場で配合、充填、包装、検品が行われます。この工程に依頼者が立ち会う必要はありません。

ステップ6:納品と販売開始

指定先へ納品されます。自宅を納品先にする場合は、段ボールの置き場所を先に決めておきます。

売り方と在庫の考え方

100個は少ないように見えて、個人の自宅在庫としては段ボール数箱分。置き場所と売り切るまでの期間を、納品前に決めておきます。

プロテインパウダーの賞味期限は、製造から12〜24ヶ月の範囲で設定されます。月に10個売れる見込みなら、100個は約10ヶ月で消化できる計算です。消化期間の出し方はジムのオリジナルプロテインの在庫設計で表にしています。保管は直射日光と高温多湿を避け、開封前の袋のまま置きます。

個人に向く販路

販路向いている理由気をつける点
自社EC世界観を伝えやすく、価格を自分で決められる発送作業と送料の設計
SNS既存のフォロワーに直接届く投稿は広告として扱われる
対面(レッスン後・イベント)試飲から購入までが一続きになる店頭での提供は許可の確認が要る

最初から3つを同時に開かず、フォロワーや会員がいる場所から始めると在庫の動きが読みやすくなります。リピート時に最低ロットが上がるメーカーもあるため、2回目以降の条件は初回に確認しておきます。個人で小ロットを始める全体像は個人がOEMで小ロット製造を始める方法で整理しています。

パッケージ表示とSNS発信で個人が守ること

個人で売る場合も、表示と広告のルールは法人と同じです。食品表示法と健康増進法が適用され、SNSでの発信も自社商品の広告として扱われます。

食品表示法の義務表示

食品表示法により、名称、原材料名、添加物、内容量、賞味期限、保存方法、製造者や販売者の表示が義務づけられています。栄養成分表示も必要です。

表示項目個人が確認すること
名称・原材料名・添加物メーカーの規格書どおりに転記する
内容量・賞味期限・保存方法容量と保管条件を確定してから印刷する
製造者・販売者どちらの名義を載せるかを契約で決める
栄養成分表示たんぱく質量は原料の等級で変わる
アレルゲンホエイやカゼインは「乳成分」の表示が要る

販売者欄には個人名や屋号を表示できます。製造者をメーカー名で載せるか、製造所固有記号(製造所を記号で示す方法)を使うかは、契約時に決めておきます。大豆は表示が推奨される品目なので、ソイを使う場合は記載します。

栄養成分表示は原料の等級で変わる

同じホエイでも、WPCとWPIではたんぱく質の含有率が違います。表示するたんぱく質量の根拠は、メーカーが持つ原料の規格書です。表示値を自分で推定して書かないことが、個人が最も気をつける点です。配合を変えれば表示も変わるため、フレーバーを追加するたびに表示を作り直します。

使えない表現とステマ規制

プロテインは食品であり、医薬品ではありません。健康増進法第65条は、健康保持増進効果について著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させる表示を禁じています。

食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

出典:消費者庁
使える表現使えない表現
タンパク質補給筋肉がつく
運動をする方に筋肥大・筋肉増強
トレーニング後の栄養補給に回復を早める
食事で不足しがちなタンパク質を補うパフォーマンスが上がる

筋肉に関する機能性を表示するには、機能性表示食品として科学的根拠を消費者庁に届け出る必要があります。届出のない商品では、栄養補給の範囲にとどめます。

自分のSNSで自分の商品を紹介する投稿は、広告として扱われます。景品表示法のステルスマーケティング規制は令和5年10月1日に施行され、事業者が依頼した投稿を一般の感想のように見せる表示は違反です。フォロワーやお客様に依頼して投稿してもらう場合は、「PR」や「広告」の明示を必ず入れます。

本記事の根拠法令・出典

法令・公的資料位置づけ
食品衛生法の営業許可・営業届出制度(厚生労働省)令和3年6月1日施行の営業届出制度と、届出不要の区分
食品衛生法の改正に伴う営業許可・営業届出について(江東区)常温で長期保存可能な包装食品の販売業が許可・届出不要である旨
食品表示法(消費者庁)名称・原材料名・アレルゲン・栄養成分などの義務表示
健康増進法(消費者庁・虚偽誇大広告)健康保持増進効果に関する虚偽・誇大表示の禁止(本文で条文を引用)
機能性表示食品制度(消費者庁)機能性を表示する場合の届出要件
ステルスマーケティング規制(消費者庁)広告であることを隠す表示の禁止

まとめ

個人でもプロテインはOEMで作れます。製造に必要な許可と設備はメーカーが持ち、屋号や個人名で契約できます。ブギウギ株式会社ではオリジナル処方を100個から、メーカー指定の原料タイプとフレーバーを使う場合は50個からご相談いただけます。サプリメントやドリンクは1,000個からで、条件は商材で変わります。

自分で確認するのは販売の側です。未開封の袋をそのまま売るだけなら届出不要の区分にあたり、小分けや店頭での提供に変わると許可の対象になります。パッケージの表示は食品表示法の義務項目をメーカーの規格書どおりに載せ、販売者欄には屋号や個人名を表示できます。SNSでの発信は広告として扱われ、筋肉に関する効果は書けません。

作れるかどうかで迷う段階は、相談すれば終わります。数量や味が決まっていなくても、売り先の見込みがあれば内容量と単価の落としどころから一緒に詰められます。

よくある質問

個人でもプロテインをOEMで作れますか?

作れます。製造に必要な食品衛生法の営業許可と設備はOEMメーカーが持っているため、依頼者が取得する必要はありません。屋号や個人名で契約でき、ブギウギ株式会社では個人事業主からのご相談もお受けしています。

販売するのに許可や届出は必要ですか?

未開封の包装品を常温でそのまま売るだけなら、営業届出が不要とされる区分にあたります。自分で小分けや詰め替えをする場合は製造行為として許可の対象になり、ジムでシェイクして提供する場合は飲食店営業などの許可が問われます。売り方が決まったら管轄の保健所に確認してください。

何個から作れますか?

ブギウギ株式会社では、プロテインのオリジナル処方を100個からご相談いただけます。メーカー指定の原料タイプとフレーバーを使う場合は50個からです。サプリメントや健康食品、ドリンクは1,000個からが目安で、同じ食品でも商材で条件が変わります。

費用はどのくらいかかりますか?

原料費、フレーバー調整費、充填加工費、パッケージ資材費、試作費の5項目で決まります。数量が少ないほど固定費が1個あたりに重く乗るため、初回ロットだけで割ると原価率は実態より悪く見えます。仕様を伝えたうえで個別にお見積りをご案内しています。

パッケージに自分の名前を載せられますか?

載せられます。食品表示法の販売者欄には個人名や屋号を表示できます。製造者をメーカー名で載せるか製造所固有記号を使うかは契約で決めるため、初回の打ち合わせで確認してください。

「筋肉がつく」とSNSに書けますか?

書けません。一般食品として販売する限り、筋肉に関する効果は表示できず、「タンパク質補給」「運動をする方に」といった範囲にとどめます。自分のSNSでの紹介も広告として扱われ、依頼した投稿には「PR」の明示が要ります。