「中身はメーカーにお任せするとして、容器と香りはどこまで選べるのだろう」——シャンプーのOEMを検討し始めた方から、よくいただく質問です。シャンプーのOEMとは、自社ブランドのシャンプーの製造をメーカーに委託する仕組みのことで、発注者が決められる範囲は項目ごとに大きく違います。容器や香りには選択肢がある一方、パッケージに書ける効能表示だけは発注者の希望では動きません。本記事では、その線引きを項目別に整理します。
この記事の要点
シャンプーのOEMでは、容器・容量・香りは選択肢の中から選べます。効能表示だけは薬機法上の区分で決まり、ロット数を増やしても書ける範囲は広がりません。
この記事でわかること
- シャンプーのOEMで発注者が決める4つの項目
- 容器形態と容量の選び方、それぞれが後工程に与える影響
- 香りと使用感でどこまで調整できるか
- 化粧品のシャンプーで書ける効能表示の範囲と、書けない表現
シャンプーのOEMで発注者が決めること

シャンプーのOEMで発注者が判断するのは、大きく4つの項目です。それぞれ性質が違うので、同じ感覚で決めようとすると話が進みません。
| 項目 | 発注者が決められるか | 決まり方 |
|---|---|---|
| 容器形態 | 選択肢の中から選ぶ | ポンプ・チューブ・パウチなど既製品から |
| 容量 | 選択肢の中から選ぶ | 販売価格と使用期間から逆算する |
| 香り・使用感 | 選択肢の中から選ぶ | 既存の香料・処方をベースに調整 |
| 効能表示 | 選べない | 薬機法上の区分(化粧品か医薬部外品か)で決まる |
前の3つは「選ぶ」問題です。用意された選択肢の中から、ブランドの方向性に合うものを決めていきます。
一方、4つ目の効能表示は性質が異なります。発注者が希望しても、ロット数を増やしても、書ける範囲は変わりません。ここを最初に理解しておくと、商品設計の順序を組み立てやすくなります。
100個から作る場合の前提
化粧品に該当するシャンプーであれば、100個程度の小ロットから相談できます。この規模では、メーカーが持つ既存処方をベースにし、既製のストック容器を使う進め方が現実的です。
数量ごとの考え方や費用の目安は化粧品を100個から作る方法に、既存処方と新規処方の判断は化粧品の小ロットOEMにまとめています。本記事ではシャンプーという商材に固有の論点に絞って進めます。
容器と容量で変わること

シャンプーは毎日使う消耗品です。容器の使い勝手と容量の設定が、そのまま使用体験とリピート率に影響します。
容器形態の選択肢
シャンプーで一般的に使われる容器は3種類あります。それぞれ運用面の性格が違います。
| 容器形態 | 向いている用途 | 留意点 |
|---|---|---|
| ポンプボトル | 販売用・サロンのバックバー | 片手で使えて浴室での扱いがよい。容器コストは高め |
| チューブ | 販売用・トラベルサイズ | 少量を出しやすい。大容量には向かない |
| 詰め替えパウチ | リピート用・業務用 | 資材コストを抑えやすい。単体では自立しにくい |
サロンのバックバー(施術で使う商品)では、濡れた手で片手操作できるポンプが選ばれやすい傾向があります。施術の合間に何度も使うため、ワンプッシュで適量が出るかどうかが現場の負担を左右します。
店頭で販売する商品では、棚に並べたときの見え方が判断材料に加わります。ボトルの形状とラベルの面積で印象が変わるため、什器のサイズと合わせて考えると失敗が減ります。
容量が総量を左右する
容量の決め方は、価格設計だけの問題ではありません。同じ100個でも、容量が違えば製造する総量が大きく変わります。
| 容量 | 100個あたりの総量 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 300mL | 30L | 店頭販売用 |
| 500mL | 50L | 販売用・詰め替え |
| 1,000mL | 100L | 業務用・サロンのバックバー |
業務用の大容量を選ぶと、同じ個数でも中身の総量は3倍以上になります。処方をゼロから設計する方式では、製造量が重量単位で決まる仕組みを採るメーカーもあり、容量の選び方によって選べる進め方が変わることがあります。
業務用と販売用の性格の違いはヘアサロンのヘアケアOEMで扱っています。ここでは、容量の決定が後工程に波及する点だけ押さえておいてください。
サロン専売品として展開する場合、業務用と販売用で容量を分ける設計が一般的です。施術で使う分は大容量、店販で売る分は持ち帰りやすいサイズという組み合わせになります。
香りと使用感で調整できる範囲
香りは、シャンプーの印象を決める要素です。ブランドの世界観と直結するため、こだわりたい部分でもあります。
小ロットで作る場合、香りは調香をゼロから起こすのではなく、メーカーが保有する既存の香料から選ぶ進め方が中心になります。フローラル系・シトラス系・ハーバル系といった方向性を伝え、候補を絞り込んでいく流れです。
使用感についても、既存処方をベースにしながら調整できる範囲があります。
- 泡立ちの立ち上がりの速さ
- すすぎ時の指通り
- 洗い上がりの質感(しっとり寄りか、さっぱり寄りか)
これらは試作サンプルで確認しながら詰めていく項目です。サロンで扱う商品であれば、実際に施術で使ってみて、シャンプーボウルでの作業感まで確かめておくと導入後のギャップが減ります。
洗浄成分そのものの設計は、商品の性格を大きく左右する領域です。アミノ酸系の洗浄成分を使う場合や、頭皮ケアを主眼に置く場合は、処方の考え方が変わります。この点は本記事の範囲を超えるため、別途整理します。
低刺激設計で気をつけること
敏感肌向けや子ども向けを想定する場合、処方の方向性をメーカーと共有しておく必要があります。ただし、パッケージや広告で伝えられる内容には制約があります。
「低刺激」という表現自体は、試験の裏づけと適切な条件表示があれば使える場合がありますが、肌トラブルが起きないことを保証する書き方はできません。表現の可否は個別の判断になるため、処方が固まった段階でメーカーの薬事担当と確認する流れが安全です。
ロットでは変わらない点:標榜できる効能は区分で決まる

ここまでは「選ぶ」項目でした。効能表示だけは性質が違います。
パッケージや広告に書ける効能は、その商品が薬機法上どの区分に該当するかで決まります。100個で作っても1万個で作っても、書ける範囲は同じです。ロット数の交渉で広がるものではありません。
シャンプーで書けるのは毛髪・頭皮16項目の中から
化粧品に該当するシャンプーで標榜できる効能は、厚生労働省が定める化粧品の効能の範囲56項目に限られます。このうち毛髪・頭皮に関わるものは16項目です。
| # | 効能 |
|---|---|
| 1 | 頭皮、毛髪を清浄にする |
| 2 | 香りにより毛髪・頭皮の不快臭を抑える |
| 3 | 頭皮、毛髪をすこやかに保つ |
| 4 | 毛髪にはり、こしを与える |
| 5 | 頭皮、毛髪にうるおいを与える |
| 6 | 頭皮、毛髪のうるおいを保つ |
| 11 | フケ、カユミがとれる |
| 12 | フケ、カユミを抑える |
16項目にはトリートメントや整髪料に対応する効能(「髪型を整え、保持する」「クシどおりをよくする」など)も含まれます。16項目すべてをシャンプーで書けるわけではなく、その商品の使用実態に合う項目を選んで標榜します。洗い流すシャンプーで整髪保持の効能を書くことはできません。
化粧品で書けるのは「フケ、カユミがとれる/抑える」まで
フケやかゆみに関する表現は、区分によって書ける言葉が変わります。ここは間違えやすい部分です。
| 区分 | 書ける表現 | 効果の性質 |
|---|---|---|
| 化粧品 | フケ、カユミがとれる/フケ、カユミを抑える | 洗い流すことによる効果 |
| 医薬部外品 | ふけ・かゆみを防ぐ | 有効成分による効果 |
化粧品のシャンプーでも、フケ・カユミについて何も書けないわけではありません。ただし書けるのは「とれる」「抑える」までです。「防ぐ」は医薬部外品の領域にあたり、化粧品では使えません。
「治す」はどちらの区分でも使えない表現です。症状を治療する表現は医薬品の領域になります。
16項目を超える訴求が必要になったとき
育毛や脱毛の予防を訴求したい場合は、化粧品ではなく医薬部外品として開発する必要があります。医薬部外品は承認を得る工程が入るため、ロット・リードタイム・手続きのすべてが化粧品とは異なる条件になります。
なお医薬部外品であれば何でも書けるわけではありません。効能は品目ごとに承認された範囲に限られ、薬用シャンプーとして承認される効能と、育毛剤として承認される効能は別のものです。
区分による違いは医薬部外品と化粧品の違いで整理しています。
問い合わせ前に決めておくシャンプー固有の項目
メーカーに相談する前に、次の4点について方向性を持っておくと、初回のやり取りで話が前に進みます。
- 容器形態:ポンプ・チューブ・詰め替えパウチのどれを想定するか
- 容量:販売価格と使用期間から逆算した数値
- 香りの方向性:フローラル系・シトラス系など、系統だけでも
- 書きたい効能:パッケージやLPで伝えたい内容
4つ目が特に重要です。伝えたい内容が16項目の範囲に収まるかどうかで、化粧品として進めるか医薬部外品を検討するかが分かれます。この判断が後工程のスケジュールを大きく左右します。
すべてを固めてから相談する必要はありません。決めきれない部分は、候補を挙げた状態で持ち込めば、メーカー側から選択肢を提示してもらえます。
まとめ
シャンプーのOEMで発注者が決められる範囲は、項目によって性質が違います。
- 容器形態・容量・香り・使用感は、用意された選択肢の中から選ぶ
- 容量の決定は総量に波及し、選べる進め方に影響することがある
- 効能表示は薬機法上の区分で決まり、ロット数では変わらない
- 化粧品のシャンプーで書けるのは毛髪・頭皮16項目のうち、その商品の使用実態に合うもの
- 「フケ、カユミがとれる/抑える」は化粧品でも書けるが、「防ぐ」は医薬部外品の領域
ブギウギ株式会社では、化粧品に該当するヘアケアであれば100個程度の小ロットから相談を受け付けており、既存処方ベースであれば最短約1ヶ月程度での納品が可能なケースもあります。容器の選定からラベルデザインまで一貫して対応しています。
よくある質問
シャンプーのOEMで容器の形は自由に選べますか
小ロットで作る場合は、メーカーが取り扱う既製のストック容器から選ぶ進め方が現実的です。ポンプボトル・チューブ・詰め替えパウチなど複数の選択肢があり、その中からブランドの方向性と用途に合うものを決めていきます。
オリジナルの形状を起こす場合は金型の製作が必要になり、条件が変わります。まずは既製容器で候補を絞り、どうしても合うものがない場合に相談する順序が進めやすい流れです。
香りはオリジナルで調香してもらえますか
小ロットの場合、メーカーが保有する既存の香料から選ぶ方法が中心になります。フローラル系・シトラス系といった系統を伝えて候補を絞り込み、試作サンプルで確認していきます。
ゼロから調香を起こす場合は、香料の最低製造量の関係で数量の条件が変わることがあります。ご希望の方向性をお伝えいただければ、実現できる範囲をご提案します。
パッケージに「フケ・かゆみを防ぐ」と書けますか
化粧品に該当するシャンプーでは書けません。「防ぐ」は有効成分による効果を示す表現で、医薬部外品として承認を受けた商品の領域になります。
化粧品のシャンプーで書けるのは「フケ、カユミがとれる」「フケ、カユミを抑える」までです。洗い流すことによる効果として、化粧品の効能の範囲に含まれています。表現の可否は個別の判断になるため、文言が固まった段階で確認する流れをおすすめします。
業務用と販売用で仕様を分けられますか
分けられます。サロン専売品では、施術で使う業務用は大容量、店頭で販売する商品は持ち帰りやすいサイズという組み合わせが一般的です。
容器も用途に合わせて変えられます。ただし仕様を分けるとそれぞれで資材の手配が発生するため、数量や進め方の条件については個別にご相談ください。

