サロンで使っている輸入ワックスを自店ブランドに切り替えたい——脱毛サロンからよく挙がる相談です。ワックス脱毛剤のOEMとは、ワックス剤の処方設計から充填・パッケージまでを受託製造会社に委託し、自店やブランドの名前で販売する仕組みを指します。ここで最初に押さえるべきは商品区分です。毛を物理的に引き抜くタイプのワックスは、化粧品でも医薬部外品でもなく雑貨に区分されます。この違いが、届出の要否と広告で言えることの両方を決めます。

この記事の要点

物理的に毛を抜くワックスは雑貨に区分され、届出は不要でも効能は謳えません。

この記事でわかること

  • ハード・ソフト・シュガーの3種のワックスの違いと使い分け
  • 物理的な脱毛剤が雑貨に区分される理由と、除毛剤との境界
  • 雑貨・化粧品・医薬部外品で変わる届出と広告の制約
  • ロットと費用の目安、企画から納品までの流れ
  • サロンやECで使えない訴求表現の具体例

ワックス脱毛剤OEMとは

ワックス脱毛剤OEMとは、委託者のブランド名でワックス剤を製造してもらう受託製造の形態です。受託側が原料調達・処方設計・充填を担い、委託者はサロン運営や販売に専念できます。

サロンがオリジナルワックスを持つ理由は、施術品質の安定と物販の両方にあります。輸入品は為替や供給の影響を受けやすく、同じ製品が突然入手できなくなることも。国内で自社仕様のワックスを確保できれば、この不安定さから解放されます。

ワックス剤の処方は、粘度・融点・肌当たりの3点で調整します。サロンの施術スタイルや対象部位によって最適な硬さが変わるため、既製品では細かく合わないケースが出てくるためです。

施術用と物販用の違い

サロンで使う施術用と、会員向けに販売する家庭用では設計が変わります。施術用はプロが扱う前提で温度管理も含めた仕様にできる一方、家庭用は扱いやすさと安全性を優先します。容量も施術用は大容量、物販用は小容量が中心です。

ワックスの種類と選び方

ワックスの種類と選び方|図解

ワックスは大きく3種類に分かれます。剥がし方と肌当たりが異なり、対象部位によって向き不向きがはっきりします。

種類剥がし方向いている部位特徴
ハードワックス冷えて固まった後そのまま剥がすデリケートゾーン・顔まわり毛を選んで捉えやすく、肌への当たりが穏やか
ソフトワックス専用ペーパーを当てて剥がす脚・腕・背中など広い面積一度に広範囲を処理でき作業が速い
シュガーワックス手またはペーパーで剥がす全身・肌が敏感な方向け水溶性で洗い流せ、後片付けが簡単

ハードワックスは粒状のビーズタイプで供給されることが多く、溶かして使います。デリケートゾーンの施術が中心のサロンでは、この形状が定番。デリケートゾーンに特化した設計を検討する場合は、ブラジリアンワックスのOEM設計基準もあわせて参考になります。シュガーワックスは砂糖を主原料とし、水で落とせる手軽さから家庭用の物販とも相性が良い選択肢です。

部位と客層を決めてから種類を選ぶという順序が設計をぶれさせません。全部位に1種類で対応しようとすると、どこかで使い勝手が犠牲になります。

香りと色の設計

ワックス剤は処方だけでなく、香りや色もオリジナルで設計できます。サロンの世界観に合わせた仕様にすることで、施術体験そのものの差別化につながる要素です。ただし香料の追加は肌への刺激要因にもなるため、対象部位を踏まえて判断します。

区分によって変わる規制

ワックス脱毛剤を企画するうえで最も誤解が多いのが、商品区分の話です。同じ「ムダ毛を処理する商品」でも、作用の仕方によって区分が変わります。

区分該当する商品届出・承認効能の標榜
雑貨物理的に毛を引き抜くワックス不要化粧品的な効能も謳えない
医薬部外品化学反応で毛を溶かす除毛剤承認が必要承認された効能のみ可
化粧品保湿など化粧品効能を持つ関連品届出が必要56項目の範囲内

物理的な力で毛を除去するワックスは、有効成分による作用がないため薬機法の規制対象となる区分に入らず、雑貨として扱われます。そのため製造や販売にあたって薬機法上の届出や承認は必要ありません。

ここで見落とされやすいのが、届出が不要であることと広告が自由であることは別だという点です。雑貨であっても、薬機法に抵触する広告は行えません。化粧品的な効能を謳えば、無承認の化粧品を販売したと判断されるおそれがあります。

一方、ワックスと合わせて販売する施術後のローションやオイルは、保湿などの効能を持たせるなら化粧品として届出が必要です。セット商品では品目ごとに区分が分かれるため、キット化する際は個別に確認します。

ロット・費用と製造の流れ

ロット・費用と製造の流れ|ワックス脱毛 OEM

ワックス脱毛剤のロットは、容量とパッケージの仕様で変わります。サロン向けの小容量パッケージなら数百個規模から対応する例もあり、一般消費者向けのキット商品では1,000個規模が中心です。

ロットと納期の考え方

化粧品以外のOEM商材は、一般に1,000個前後からの受注が中心です。ブギウギ株式会社でも、ワックス脱毛剤については1,000個からのご相談を承っており、期間は打ち合わせから納品まで約3ヶ月が目安となります。ロット数や仕様が固まっていない段階でもご相談いただけます。

製造の流れは、おおむね次の4段階です。

  1. ヒアリング・仕様決定(2〜3週間):種類・対象部位・容量・容器を決める
  2. 処方設計・試作(3〜4週間):粘度と融点を調整し、実際の施術で試す
  3. パッケージ制作(2〜3週間):容器とラベルを確定する
  4. 量産・充填・納品(3〜4週間):製造して出荷する

試作段階では、必ず実際の施術で使ってください。温めたときの伸び、冷えるまでの時間、剥がすときの抵抗は数値では判断できず、施術者の手の感覚でしか確認できない要素です。ここを省略すると、量産後に使いにくさが判明する事態になりかねません。

広告表現で使えない訴求

雑貨であるワックス脱毛剤は、薬機法の承認を受けていません。そのため効果に関する訴求は大きく制限されます。

医療行為と誤認させる表現

「永久脱毛」は医療機関でのみ行える行為を指す表現であり、ワックス脱毛では使えません。毛根を破壊する施術は医療行為にあたるためです。

使えない表現理由
永久脱毛できる医療行為との誤認を招く
毛が生えてこなくなる効果の永続性の標榜
毛が細くなる・薄くなる身体への作用の標榜
肌がきれいになる・保湿する化粧品的効能の標榜(雑貨では不可)
最高・No.1・完全最大級表現の禁止

言えるのは、物理的に毛を処理するという事実の範囲です。「ムダ毛を根元から処理する」「自宅で手軽にお手入れできる」といった、商品の機能そのものを説明する表現にとどめます。

体験談と比較表示

施術前後の写真を効果として提示する場合、過度な演出は景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。事業者が依頼して投稿してもらった感想を一般の口コミのように見せる行為は、令和5年10月から施行されたステルスマーケティング規制の対象です。

事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

出典:消費者庁

本記事の根拠法令・出典

法令・公的資料位置づけ
雑貨等の広告について(東京都保健医療局)雑貨の薬事該当性と広告表現の考え方を示す
医薬品等の規制(厚生労働省)医薬部外品・化粧品の承認と届出の枠組み
景品表示法(消費者庁)優良誤認・ステルスマーケティングを規制する
健康増進法・虚偽誇大広告(消費者庁)効果に関する誇大表示の考え方を示す

まとめ

ワックス脱毛剤のOEMは、商品区分の確認から始まります。物理的に毛を引き抜くワックスは雑貨に区分され、薬機法の届出は不要な一方、化粧品的な効能も医薬品的な効能も謳えません。

種類はハード・ソフト・シュガーの3つがあり、対象部位と客層から選びます。デリケートゾーン中心ならハード、広い面積ならソフト、後片付けの手軽さを重視するならシュガーという整理です。

ロットは仕様によって幅があり、ブギウギ株式会社では1,000個から、期間は約3ヶ月が目安となります。試作では必ず実際の施術で使い、伸びや剥がれ方を施術者の感覚で確認してください。広告面では「永久脱毛」「毛が生えてこなくなる」といった表現が使えない点を、企画段階から共有しておきます。

よくある質問

ワックス脱毛剤のOEMは何個から作れますか?

仕様によって幅があります。サロン向けの小容量パッケージでは数百個規模から対応する例もあり、一般消費者向けのキット商品では1,000個規模が中心です。ブギウギ株式会社ではワックス脱毛剤について1,000個からのご相談を承っています。ロット数が未定の段階でもご相談いただけます。

脱毛ワックスを作るのに許可は必要ですか?

物理的に毛を引き抜くタイプのワックスは雑貨に区分されるため、薬機法上の届出や承認は必要ありません。ただし化学反応で毛を溶かす除毛剤は医薬部外品にあたり、承認が必要です。同時に販売する保湿ローションなどを化粧品として扱う場合は、別途化粧品の届出が要ります。

納品までどのくらいかかりますか?

打ち合わせから納品まで約3ヶ月が目安です。仕様決定・処方設計と試作・パッケージ制作・量産という流れで進みます。試作で粘度や融点を調整する回数が増えると期間は延びるため、施術での確認スケジュールを早めに組んでおくと安心です。

ハードワックスとソフトワックスはどちらを選ぶべきですか?

主に扱う部位で決めます。デリケートゾーンや顔まわりなど狭く敏感な部位が中心ならハードワックス、脚や腕など広い面積を短時間で処理したいならソフトワックスが向いています。両方を扱うサロンでは、部位別に2種類を用意する構成も選ばれています。

「永久脱毛」とうたってもよいですか?

使えません。毛根を破壊して永久的に脱毛する行為は医療機関でのみ行えるため、ワックス脱毛剤で永久脱毛を標榜すると医療行為との誤認を招きます。「毛が生えてこなくなる」「毛が細くなる」といった表現も、身体への作用の標榜にあたるため避けます。

香りや色をオリジナルにできますか?

対応している受託製造会社であれば可能です。サロンの世界観に合わせた香りや色を設計することで、施術体験の差別化につながります。ただし香料は肌への刺激要因にもなるため、デリケートゾーンなど敏感な部位に使う商品では配合を控えめにする判断も必要です。