夏の物販でオリジナルの日焼け止めを並べたい——サロンやD2Cブランドで、季節商材としてUVケアを検討する事業者は少なくありません。日焼け止めのOEM小ロットとは、自社ブランドのUVケア製品を少量から製造委託する仕組みで、化粧品として作れば100個程度の極小ロットから相談できます。ただしSPF・PAの表示や紫外線防御成分の設計には固有のルールがあります。本記事では、その要点を整理します。
この記事の要点
日焼け止めは化粧品として100個程度から作れます。SPF・PA表示や成分設計に固有ルールがあり、夏季需要から逆算した製造計画が要点です。
この記事でわかること
- 日焼け止めをOEMの小ロットで作る仕組みと、化粧品・医薬部外品の区分
- SPF・PAの表示ルールと、測定にかかる工程
- 紫外線防御成分(吸収剤・散乱剤)の選び方
- 夏季需要に合わせた製造スケジュールと、表示で気をつける点
日焼け止めをOEMの小ロットで作るには

日焼け止めのOEM小ロットとは、UVケア製品を自社ブランドとして少量から製造委託する方式です。多くの日焼け止めは化粧品に分類され、化粧品OEMなら既存処方と既製容器を使うことで、100個程度の極小ロットから相談できます。
ここで最初に決めておきたいのが、化粧品として作るか、医薬部外品(薬用)として作るかという区分です。標榜できる範囲と開発の負担が変わります。
化粧品と医薬部外品の違い
| 区分 | 標榜できる範囲 | 承認・開発 |
|---|---|---|
| 化粧品の日焼け止め | 「日やけを防ぐ」「日やけによるシミ・そばかすを防ぐ」など56項目の範囲内 | 承認申請は不要・小ロットで作りやすい |
| 医薬部外品(薬用)の日焼け止め | 承認された効能(美白系など)を追加で標榜できる | 承認申請が必要・期間と費用がかかる |
小ロットでテスト販売から始めるなら、まず化粧品として作るのが現実的です。ブギウギ株式会社では化粧品OEMに限り100個程度から相談を受け付けており、個人事業主からのご相談もお受けしています。小ロット化粧品OEM全体の進め方は化粧品をOEMの小ロットで作る方法で整理しています。
SPFとPAの表示ルール

日焼け止め特有の要素が、SPFとPAの表示です。この2つは紫外線のどの波長に対する指標かが異なり、表示には決まったルールがあります。
SPFとPAが示すもの
| 指標 | 対象 | 表示の形式 |
|---|---|---|
| SPF | UVB(主に肌の赤み・炎症の原因) | 数値で表示。50を超える場合はすべて「50+」と表示 |
| PA | UVA(主に肌のハリの変化に関わる) | 「PA+」から「PA++++」までの4段階 |
SPFやPAの数値は、事業者が任意に決めるものではありません。定められた測定方法にもとづく試験で評価する必要があり、この測定には別途の期間と費用がかかります。既存処方をベースにする場合、その処方で測定済みの数値を使えることが多く、小ロットでも表示を用意しやすくなります。
「SPF値が高いほど良い」という単純な訴求は避け、使うシーン(日常使いか、レジャー用か)に合わせて数値を設計すると、ブランドの世界観に沿った製品になります。
なお、実際の紫外線防御効果は塗る量にも左右されます。試験は規定量を塗布して測定するため、日常の使用量が少ないと表示どおりの効果になりにくい点は、商品説明やSNS発信で伝えておくと親切です。数値だけでなく、こまめな塗り直しを促す情報を添えると、使い手にとって実用的なブランドになります。
紫外線防御成分の選び方

日焼け止めの使用感と処方設計を左右するのが、紫外線防御成分です。大きく2種類に分かれ、それぞれ特徴があります。
吸収剤と散乱剤
| 種類 | 代表的な成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 紫外線吸収剤(有機系) | メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど | 使用感が軽く、白浮きしにくい |
| 紫外線散乱剤(無機系) | 酸化チタン・酸化亜鉛など | 肌への負担感を抑えたい設計に向く・白浮きしやすい |
吸収剤を使わず散乱剤のみで設計したものは、一般に「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」と表現されます。敏感肌向けやベビー向けを想定するブランドで選ばれる傾向があります。
どちらを選ぶかは、ターゲットと使用シーンで決めます。軽い使用感を重視するのか、肌あたりのやさしさを打ち出すのかによって、適した処方が変わります。既存処方の引き出しが豊富なメーカーだと、コンセプトに近い処方から選びやすくなります。
日焼け止めOEMの開発(処方設計)の流れ
日焼け止めOEMの開発は、コンセプトの言語化からベース処方の選定・カスタマイズ・薬事チェックへと順に進みます。UVケア製品は紫外線防御と使用感の両立が処方設計の勘所で、既存処方をベースにすると小ロットでも工程を短くまとめやすくなります。
処方設計は、おおむね次の順で具体化していきます。
- コンセプト設計:ターゲットと使用シーン(日常使いかレジャー用か)を決め、目指す防御力の水準を言語化します。
- ベース処方の選定:紫外線吸収剤・散乱剤のどちらを軸にするか、剤形(ミルク・ジェルなど)を既存処方の引き出しから選びます。
- カスタマイズ:使用感・香り・保湿成分などを、化粧品として標榜できる範囲で調整します。
- SPF・PA測定の要否判断:既存処方の測定済み数値を使えるか、処方変更で新規測定が要るかを見極めます。ここが開発期間を左右します。
- 試作・容器決定・表示チェック:試作品で使用感を確かめ、容器を決め、パッケージやWeb表示の文言を薬機法・景品表示法の観点で点検します。
紫外線防御成分の種類や配合を新規に大きく変えると、SPF・PA測定が必要になり期間と費用が増える傾向があります。既存処方をベースに香りや容器で差別化すると、開発の負担を抑えながらオリジナルのUV商品を用意しやすくなります。
小ロットで作れる日焼け止めのタイプ
日焼け止めは中身の形状(剤形)によって使用感が変わり、狙うシーンも分かれます。小ロットで作りやすいのは、既存処方の引き出しが多いミルク・ジェルタイプです。
剤形別の特徴
| タイプ | 使用感 | 向いているシーン |
|---|---|---|
| ミルク・ローション | 伸びがよく全身に塗りやすい | 日常使い・ボディ用 |
| ジェル | みずみずしく軽い | 日常使い・脂性肌向け |
| クリーム | しっとりして密着感がある | 乾燥が気になる肌向け |
| スプレー | 塗り直しが手軽 | レジャー・髪や背中への使用 |
| スティック | 手を汚さず塗れる | 外出先での塗り直し |
初めて小ロットで作るなら、日常使いを想定したミルク・ジェルタイプが選びやすい傾向です。スプレーやスティックは容器や充填の条件が変わるため、最低ロットをメーカーに確認してから計画を立ててください。ターゲットの生活シーンを思い描き、そこで使われる剤形から選ぶと、コンセプトと製品がぶれません。
夏季需要に合わせた製造スケジュール
日焼け止めは季節商材のため、いつ発売するかから逆算して製造を計画することが欠かせません。需要のピークは春から夏で、店頭やECで動くのもこの時期です。
発売時期からの逆算
| 時期 | 動き |
|---|---|
| 発売の約3〜6ヶ月前 | コンセプト設計・メーカー選定・処方の選択 |
| 発売の約2〜3ヶ月前 | 試作確認・容器決定・薬事チェック |
| 発売の約1ヶ月前 | 製造・納品・販売準備 |
春夏の店頭に間に合わせるには、前年の秋から冬に着手するのが目安です。化粧品OEM・100個・既存処方ベースの場合、ブギウギ株式会社では最短約1ヶ月程度での納品が可能ですが、SPF測定や新規処方を伴う場合は前倒しで動く必要があります。
小ロットで作る利点は、シーズンごとに少量ずつ試せることです。初年度は100個でテスト販売し、反応を見て翌年の数量を判断すると、季節商材特有の売れ残りリスクを抑えられます。費用の目安は化粧品OEMの費用相場を個人向けに解説を参考にしてください。
日焼け止めOEMで注意する表示・薬機法
日焼け止めは効果に関わる表現が多いため、薬機法・景品表示法の観点で表示に注意が要ります。化粧品として作る場合、標榜できる効能効果は限られます。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索)
化粧品の日焼け止めで使えない表現
- 「シミが消える」「シミを薄くする」(化粧品では「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」の範囲)
- 「completely blocks」など紫外線を完全に遮断すると受け取れる表現
- 「一日中塗り直し不要」など効果の永続を示す表現
- 「最高」「No.1」「絶対」といった最大級表現
化粧品が標榜できる効能効果は、厚生労働省が定める56項目の範囲内に限られます。SPF・PAの数値表現や広告の作り方は、日本化粧品工業会の適正広告ガイドラインも参考になります。表示物の事前チェック体制が整ったメーカーを選ぶと、修正のやり直しを減らせます。
本記事の根拠法令・出典
本記事で言及した規制・表現ルールの根拠は以下のとおりです。
| 法令・公的資料 | 位置づけ |
|---|---|
| 医薬品医療機器等法 第66条(e-Gov法令検索) | 化粧品を含む誇大広告の禁止(本文で条文を引用) |
| 化粧品の効能の範囲について(厚生労働省) | 化粧品が標榜できる効能56項目 |
| 化粧品等の適正広告ガイドライン(日本化粧品工業会) | SPF表示・広告表現の業界ガイドライン |
| 化粧品公正競争規約(化粧品公正取引協議会) | 最大級表現の原則禁止など業界の表示ルール |
まとめ
日焼け止めは化粧品として作れば、100個程度の極小ロットから相談できます。まず化粧品と医薬部外品のどちらで作るかを決め、SPF・PAの表示、紫外線吸収剤・散乱剤の選択を、ターゲットと使用シーンに合わせて設計します。季節商材のため、春夏の発売から逆算して秋冬に着手する計画が要点です。
ブギウギ株式会社では化粧品OEMに限り100個程度から相談を受け、個人事業主からのご相談もお受けしています。初年度は少量でテスト販売し、反応を見て数量を調整する進め方が、季節商材の売れ残りリスクを抑えます。表示はSPF数値・効能表現ともにルールがあるため、事前チェック体制のあるメーカーと進めてください。
よくある質問
日焼け止めは小ロットで作れますか?
化粧品として作る場合、既存処方と既製容器を使うことで100個程度の極小ロットから相談できるメーカーがあります。ブギウギ株式会社では化粧品OEMに限り100個から相談を受け、個人事業主からのご相談もお受けしています。
SPFやPAの数値は自由に決められますか?
いいえ。SPF・PAは定められた測定方法にもとづく試験で評価する必要があり、任意に表示できません。既存処方をベースにする場合は、その処方で測定済みの数値を使えることが多く、小ロットでも表示を用意しやすくなります。
日焼け止めは化粧品と医薬部外品のどちらで作りますか?
多くの日焼け止めは化粧品として作れます。美白系など追加の効能を標榜したい場合は医薬部外品となり、承認申請が必要で期間と費用がかかります。小ロットでテスト販売から始めるなら、化粧品として作るのが現実的です。
ノンケミカルの日焼け止めも作れますか?
作れます。紫外線吸収剤を使わず、酸化チタン・酸化亜鉛などの散乱剤のみで設計したものが「ノンケミカル」と呼ばれます。敏感肌向けやベビー向けのブランドで選ばれる傾向があります。処方の引き出しはメーカーに確認してください。
いつ着手すれば夏に間に合いますか?
春夏の発売に間に合わせるには、前年の秋から冬に着手するのが目安です。化粧品OEM・100個・既存処方ベースなら最短約1ヶ月程度での納品が可能ですが、SPF測定や新規処方を伴う場合は前倒しで計画してください。

