「せっかく作るなら医薬部外品のほうが良いのでは」——OEMの相談で頻繁に出る問いです。医薬部外品と化粧品の違いとは、薬機法上の区分の違いであり、実務上は表示できる効能の範囲と、発売までに必要な手続きの2点に集約されます。医薬部外品は化粧品より広い効能を表示できる代わりに、品目ごとの承認が必要になり、期間もコストも増えます。どちらが優れているかではなく、伝えたい効能に必要な区分はどちらかという順序で考えると判断を誤りません。

この記事の要点

区分の選択は、表示したい効能が化粧品の56項目に収まるかどうかで決まります。

この記事でわかること

  • 医薬部外品と化粧品の法的な位置づけの違い
  • 表示できる効能の範囲がどこまで変わるか
  • 届出と承認という手続きの差と、期間・ロットへの影響
  • どちらの区分で作るかを判断する具体的な基準
  • 区分を誤りやすい「薬用」「美白」などのケース

法的な位置づけの違い

薬機法は、人体に用いる製品を医薬品・医薬部外品・化粧品などに区分しています。作用の強さと目的によって段階が分かれる構造です。

区分位置づけ目的
医薬品治療・診断のためのもの疾病の治療・予防
医薬部外品医薬品と化粧品の中間承認された効能の範囲での予防・衛生
化粧品人体への作用が緩和なもの清潔・美化・魅力を増す・健やかに保つ

化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」と定義されています。医薬部外品はこれより一段強い作用を認められた区分で、効能に寄与する成分を有効成分として明示する点が構造上の違いです。

有効成分の有無

医薬部外品には有効成分という概念があり、その種類と配合量が承認の審査対象になります。化粧品にはこの概念がありません。配合する成分はすべて配合成分として扱われ、特定の成分に効能を結びつけて表示することはできません。

この差が、次に述べる効能表示の違いを生んでいます。

表示できる効能の違い

表示できる効能の違い|図解

実務で最も影響するのがこの部分です。作りたい商品で何を伝えたいかによって、選ぶべき区分が決まります。

化粧品で表示できる範囲

化粧品は、厚生労働省が定める56項目の効能の範囲内でのみ表示できます。代表的なものは次のとおりです。

  • 肌を整える/肌のキメを整える
  • 皮膚にうるおいを与える/皮膚をすこやかに保つ
  • 肌荒れを防ぐ
  • 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ
  • 乾燥による小ジワを目立たなくする(評価試験を実施した場合のみ)

医薬部外品で表示できる範囲

医薬部外品では、品目ごとに承認された効能を表示できます。化粧品では言えない領域が含まれます。

商品タイプ表示できる効能の例
薬用化粧品(美白系)メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ
薬用化粧品(肌荒れ系)肌荒れ・あれ性を防ぐ/にきびを防ぐ
薬用石けん皮膚の清浄・殺菌・消毒
育毛剤育毛・養毛/脱毛の予防
制汗剤汗・わきが・体臭を防ぐ

「メラニンの生成を抑え」という作用機序に踏み込んだ表現や、「殺菌」「育毛」といった言葉は、化粧品では使えません。この一線を越える必要があるかどうかが、区分選択の実質的な基準になります。

どちらの区分でも使えない表現

区分を上げれば何でも言えるようになるわけではありません。

使えない表現理由
シミが消える・治る治療効果の標榜。医薬部外品でも不可
若返る・アンチエイジングどちらの承認効能にも存在しない
肌の奥まで浸透「角質層まで」の明示が必要
安全・無害・副作用なし安全性を保証する表現の禁止

医薬部外品の承認効能が「防ぐ」で統一されている点に注目してください。予防までが上限であり、既にある状態を治すことは医薬品の領域です。

医薬品等の広告を行う者は、医薬品等の本質にかんがみ、その広告の適正を図るため、承認等を受けた効能効果等の範囲をこえないものとする

出典:厚生労働省

手続き・期間・ロットの違い

区分が変わると、発売までの道のりも変わります。この差がスケジュールと初期費用に直結します。

項目化粧品医薬部外品
発売前の手続き製造販売届出品目ごとの承認
審査なし有効成分と効能を審査
期間の見通し目安を示しやすい承認ルートによる。1年前後の例もある
最低ロット極小ロットから可能まとまったロットが必要

化粧品は届出を提出すれば発売できるため、企画から納品までの期間を計画しやすい区分です。ブギウギ株式会社では化粧品OEMに限り100個程度の極小ロットから相談を受け付けており、最短約1ヶ月程度での納品が可能なケースもあります。

一方、医薬部外品は品目ごとの承認が必要なため、同じようには進みません。医薬部外品では1,000個からのご相談となり、極小ロットの条件は適用されません。期間についても審査の進行に左右されるため、納品時期を断定できない区分です。

初めて自社ブランドを立ち上げる事業者が化粧品から入るのは、この違いによるところが大きいと言えます。サロン専売品として化粧品を企画する流れはサロン専売コスメのOEM製造で詳しく整理しています。

どちらの区分で作るか判断する基準

どちらの区分で作るか判断する基準|医薬部外品 OEM 化粧品 違い

判断は次の順序で進めると迷いません。効能から入り、条件を確認する流れです。

  1. 伝えたい効能を書き出す:商品で訴求したい内容を具体的な文言にする
  2. 56項目に収まるか確認する:収まるなら化粧品で足りる
  3. 収まらない場合は必要性を再検討する:その効能が売上に不可欠かを問う
  4. 必要なら医薬部外品を選ぶ:期間とロットの条件を受け入れられるか確認する

多くのケースで、3番目の再検討が分岐点になります。「美白を訴求したい」という要望も、掘り下げると「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」という化粧品の効能で目的を達せられる場合があるためです。

化粧品で足りるケース

保湿・整肌・洗浄が中心の商品であれば、化粧品で十分に商品化できます。使用感や香り、容器、ブランドの世界観で差別化する戦略なら、区分を上げる必要はありません。

医薬部外品が必要なケース

「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」「にきびを防ぐ」「育毛」「制汗」といった訴求が商品の中心にある場合は、医薬部外品を選ぶことになります。これらは化粧品では表示できない領域だからです。医薬部外品でOEM製造を進める場合の手続きや期間の見通しは医薬部外品OEMの製造の流れで整理しています。

区分を誤りやすいケース

現場でよく起こる誤解を整理します。いずれも表示違反につながる可能性がある点です。

誤解実際
化粧品に「薬用」と書ける医薬部外品の承認を受けた商品のみ表示できる
有効成分を配合すれば医薬部外品になる承認を受けて初めて医薬部外品になる
化粧品でも「美白」と書ける医薬部外品の承認効能。化粧品では不可
医薬部外品なら効果を自由に書ける承認された効能の文言の範囲内に限られる
成分の効果を説明すればよい配合成分の説明でも、実質的に効能を標榜すれば違反

最後の項目は見落とされやすい落とし穴です。商品全体の効能として書かなくても、成分の説明という形で承認外の効果を示せば、表示全体として違反と判断されるおそれがあります。

本記事の根拠法令・出典

法令・公的資料位置づけ
医薬品等の規制(厚生労働省)医薬部外品・化粧品の区分と手続きを定める
化粧品の効能の範囲の改正について(厚生労働省)化粧品が標榜できる56項目の効能を示す
医薬品等の広告規制について(厚生労働省)承認された効能効果の範囲を超える広告を禁止する
化粧品等の適正広告ガイドライン(日本化粧品工業連合会)業界団体による表現の運用指針

まとめ

医薬部外品と化粧品の違いは、表示できる効能の範囲と発売前の手続きに集約されます。化粧品は56項目の範囲内で届出のみ、医薬部外品は承認された効能を表示できる代わりに品目ごとの承認が必要です。

判断は「伝えたい効能が56項目に収まるか」から始めてください。収まるなら化粧品で足り、期間もロットも有利な条件で進められます。収まらない場合も、その訴求が本当に必要かを一度検討する価値があります。

条件面では、化粧品OEMに限り100個程度の極小ロットから相談でき、最短約1ヶ月程度での納品が可能なケースもあります。医薬部外品は1,000個からとなり、期間も承認の進行に左右されます。この差を理解したうえで区分を選ぶことが、計画どおりに商品を出す近道です。

よくある質問

医薬部外品と化粧品はどちらが優れているのですか?

優劣ではなく用途の違いです。医薬部外品は化粧品より広い効能を表示できますが、その分だけ承認の手間と期間、ロットの条件が加わります。保湿や整肌が中心の商品であれば化粧品で十分に成立するため、伝えたい効能から逆算して選ぶ考え方が適切です。

化粧品に「薬用」と書いてもよいですか?

医薬部外品として承認を受けた商品でなければ表示できません。「薬用」は医薬部外品であることを示す表現であり、承認のない化粧品に用いると表示違反になります。有効成分とされる成分を配合しただけでは医薬部外品にはならない点にも注意します。

ロットと期間はどのくらい違いますか?

ブギウギ株式会社では、化粧品OEMに限り100個程度の極小ロットから相談を受け付けており、最短約1ヶ月程度での納品が可能なケースもあります。医薬部外品は1,000個からのご相談となり、期間は承認ルートによって変わるため一律の目安を示せません。独自処方では1年前後かかる例もあります。

「美白」と書きたい場合はどうすればよいですか?

「美白」は医薬部外品の承認効能にあたるため、化粧品では使えません。医薬部外品として承認を受ければ「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という文言で表示できます。化粧品のまま近い訴求をするなら「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」が56項目の範囲内の表現です。

成分の説明として効果を書くのは問題ありませんか?

商品の効能として書かなくても、成分の説明という形で承認外の効果を示せば、表示全体として違反と判断されるおそれがあります。配合成分の一般的な性質を説明する場合でも、その商品の効能を示唆する文脈になっていないかを確認してください。

途中で化粧品から医薬部外品に変更できますか?

実質的には作り直しになります。医薬部外品は有効成分の種類と配合量を含めて承認を受ける必要があり、化粧品として設計した処方をそのまま移行できないためです。区分は企画の初期段階で決めておくことが、手戻りを防ぐうえで欠かせません。