「自社ブランドのサプリを作りたいが、どこから手をつければいいのか分からない」——健康食品の商品化でつまずくのは、たいてい最初の一歩です。サプリメントのOEMとは、企画・処方設計・製造・包装までを受託製造会社に委託し、自社ブランドとして販売する仕組みのことです。原料調達から充填・包装までを自前で抱える必要がないため、製造設備を持たない事業者でもオリジナル商品を持てます。ただし剤形の選択とロット数の設計を誤ると、原価が想定の倍近くまで膨らむこともあります。
この記事の要点
サプリのOEMは1,000個前後から相談でき、費用は100万円前後、期間は約3ヶ月が一つの目安です。
この記事でわかること
- 錠剤・カプセル・粉末など剤形ごとの特徴とコスト差
- ロット数別の費用相場と、見積書に並ぶ項目の内訳
- 企画から納品までの工程と、各段階に必要な期間
- 受託先を選ぶときに確認すべき許可・認証・体制
- 食品表示法・健康増進法で制限される表示と広告の範囲
サプリメントOEMとは
OEM(Original Equipment Manufacturing)は、受託製造会社が委託者のブランド名で商品を製造する形態を指します。健康食品分野では、処方の設計から原料手配、製造、パッケージ充填までを一括で請け負う会社が主流です。
委託の範囲は会社によって幅があります。処方をこちらで指定する「仕様提示型」と、コンセプトだけ伝えて処方設計から任せる「開発委託型」の2つが代表的。はじめて商品を作る事業者の多くは後者を選びます。
サプリメントは薬機法上の医薬品ではなく、あくまで食品です。この区分の違いが、後述する表示ルールのすべての前提になります。製造にあたっては食品衛生法に基づく営業許可が必要で、受託先がその許可を持っているかは最初に確認すべき点です。
ODMとの違い
ODM(Original Design Manufacturing)は、受託側が企画・設計まで踏み込む形態を指します。実務上はOEMとODMの線引きが曖昧なまま使われることも多く、見積もり段階で「処方設計はどちらが担うのか」を明文化しておくと認識のずれを防げます。
剤形の種類と選び方

剤形は、製造コスト・配合できる原料・飲みやすさのすべてを左右する最初の分岐点です。同じ原料でも、錠剤にするかソフトカプセルにするかで単価が変わります。
| 剤形 | 製造コスト | 得意な原料 | 向いている商品 |
|---|---|---|---|
| 錠剤 | 低い | 粉末原料全般 | 大量生産前提の定番サプリ |
| ハードカプセル | やや低い | 粉末・顆粒 | 匂いや味に癖のある原料 |
| ソフトカプセル | やや高い | 魚油・脂溶性ビタミンなどオイル系 | オイル系成分が主役の商品 |
| 粉末・顆粒 | 低い | 配合量の多い原料 | 一度に多く摂りたい成分 |
| ドリンク | 高い | 液状原料 | 手軽さを訴求する商品 |
錠剤は大量生産に適しており、単価を抑えやすい剤形です。一方でオイル系の原料は錠剤に固めにくく、魚油やビタミンEなどを主成分にする場合はソフトカプセルが選択肢になります。手軽さを訴求するドリンクタイプを検討する場合は、容器別のロットや原料選びをまとめたコラーゲンドリンクをOEMで作る手順が参考になります。粉末タイプで大容量の商品を作る場合は、原料設計やフレーバーをまとめたプロテインをOEMで作る手順と費用相場も剤形選びの参考になります。
原料の性質が剤形を決め、剤形が単価を決めるという順番で考えると設計がぶれません。「カプセルで作りたい」という形から入ると、途中で原料が入らないと分かり設計をやり直すことになります。
配合量の上限に注意
1粒あたりに詰められる量には物理的な上限があります。配合したい成分が多いほど粒数が増え、結果として1日あたりの摂取目安量が多くなる点は企画段階で織り込んでおきます。
費用の内訳とロット・納期の目安
サプリメントOEMの費用は、ロット数・剤形・原料の3つでほぼ決まります。1,000個の錠剤タイプで100万円前後が一つの目安とされ、ロットが小さいほど1個あたりの単価は上がります。
見積書に並ぶ項目は、おおむね次の4つに分解できます。
| 費用項目 | 内容 | 変動要因 |
|---|---|---|
| 初期費用 | サンプル試作・処方設計・パッケージデザイン | 試作回数 |
| バルク代 | 中身の原料費 | 原料の希少性・配合率 |
| 資材費 | ボトル・アルミ袋・ラベル・化粧箱 | 容器の仕様 |
| 加工費 | 充填・包装・検査 | ロット数 |
原価を圧迫しやすいのは、意外にも中身より資材であるケースです。オリジナルの化粧箱を作ると版代がかかり、小ロットでは1個あたりの負担が大きくなります。初回はシンプルな包装に抑え、売れ行きを見てから資材へ投資する進め方が現実的。
ロットと納期の考え方
化粧品以外のOEM商材は、一般に1,000個前後からの受注が中心です。ブギウギ株式会社でも、サプリメント・健康食品については1,000個からのご相談を承っており、期間は打ち合わせから納品まで約3ヶ月が目安となります。なお100個程度の極小ロット対応は化粧品OEMに限定した条件のため、サプリメントには適用されません。最低ロットの目安や剤形ごとの考え方は、サプリメントを小ロットで作る手順でも整理しています。
原料の調達状況によっては期間が延びることもあります。輸入原料を使う場合や、繁忙期にあたる場合は余裕を持った計画が必要です。
企画から納品までの流れと期間の目安

商品化の工程は、大きく5段階に分かれます。全体で約3ヶ月を見込みますが、処方の確定が遅れるとそのまま後工程にずれ込みます。
- ヒアリング・企画(2〜3週間):ターゲット・コンセプト・想定価格帯・希望ロットを整理する
- 処方設計・見積もり(2〜3週間):原料構成を決め、原価と単価を確定させる
- 試作・サンプル確認(3〜4週間):現物で味・粒の大きさ・飲みやすさを確認する
- パッケージ制作・表示チェック(2〜3週間):表示ラベルの法令適合を確認する
- 製造・充填・納品(3〜4週間):量産と検査を経て出荷する
工程のなかで最も見落とされやすいのが4番目の表示チェックです。原材料名・アレルゲン・栄養成分表示は食品表示法で義務づけられており、ラベルの作り直しが発生すると納期が1ヶ月近く後ろにずれることもあります。
試作段階では、粒の大きさや匂いを必ず現物で確認してください。数値上の設計が良くても、飲みにくい形状では継続購入につながりません。
受託先の選び方と表示・広告のルール
受託先の比較は価格だけで行わないことが原則です。健康食品は口に入るものであり、品質管理体制が商品の信頼性を直接左右します。
確認すべき4つの軸
| 確認軸 | 具体的に見る点 |
|---|---|
| 許可・認証 | 食品衛生法の営業許可、健康食品GMPの適合認定 |
| 剤形の対応範囲 | 希望する剤形の製造設備を自社で持つか |
| 最低ロット | 初回ロットと2回目以降の条件 |
| 表示サポート | 食品表示法に沿ったラベル確認を行うか |
GMP(適正製造規範)は、原料の受け入れから出荷までの製造・品質管理の基準です。公益財団法人日本健康・栄養食品協会などが審査し、適合した工場に認定が与えられます。認定の有無は品質管理体制を判断する客観的な材料になります。
表示・広告で言えないこと
サプリメントは食品であるため、医薬品のような効能効果を表示することはできません。健康増進法第65条は、健康保持増進効果について著しく事実に相違する表示、著しく人を誤認させる表示を禁じています。
食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
出典:消費者庁
具体的には、次のような表現が使えません。
| 使えない表現 | 理由 |
|---|---|
| 治る・改善する・予防する | 医薬品的な効能の標榜にあたる |
| 痩せる・脂肪燃焼 | 身体機能の改変効果の標榜 |
| 免疫力アップ・デトックス | 科学的根拠を超えた標榜 |
| 1日3粒を食前に | 医薬品的な用法用量の指定(「目安量」と表現する) |
判断は特定の単語の有無ではなく、表示全体の印象で行われます。体験談やビフォーアフター画像との組み合わせで違反と判断される事例もあるため、商品ページ全体の設計として考える必要があります。
本記事の根拠法令・出典
| 法令・公的資料 | 位置づけ |
|---|---|
| 食品表示法(消費者庁) | 原材料名・アレルゲン・栄養成分などの義務表示を定める |
| 健康増進法(消費者庁・虚偽誇大広告) | 健康保持増進効果に関する虚偽・誇大表示を禁止する |
| 食品の安全に関する情報(厚生労働省) | 食品衛生法に基づく製造・営業許可の枠組み |
| 公益財団法人日本健康・栄養食品協会 | 健康食品GMPの適合認定を実施する業界団体 |
まとめ
サプリメントのOEM製造は、剤形の選択から始まり、ロット設計、表示チェックまでが一連の流れになっています。原料の性質から剤形を決め、剤形からコストを逆算する順序で考えると、途中の手戻りを減らせます。
費用は1,000個で100万円前後、期間は約3ヶ月が目安。ただし原料の調達状況や試作回数によって変動するため、余裕のあるスケジュールを組んでおくと安心です。
受託先を選ぶ際は、価格に加えて食品衛生法の営業許可と健康食品GMPの適合認定を確認してください。表示・広告については食品表示法と健康増進法の制約が大きく、企画段階から意識しておくことでラベルの作り直しを防げます。
よくある質問
サプリメントのOEMは何個から依頼できますか?
商材や剤形によって異なりますが、化粧品以外のOEM商材は一般に1,000個前後からの受注が中心です。ブギウギ株式会社でもサプリメント・健康食品は1,000個からのご相談を承っています。ロット数が未定の段階でもご相談いただけます。
費用はどのくらいかかりますか?
1,000個の錠剤タイプで100万円前後が一つの目安です。内訳は初期費用・バルク代・資材費・加工費の4つに分かれ、使用する原料の希少性や容器の仕様によって変動します。オリジナルの化粧箱を作る場合は版代が加わります。
納品までどのくらいの期間が必要ですか?
打ち合わせから納品まで約3ヶ月が目安です。企画・処方設計・試作・パッケージ制作・製造の5工程に分かれ、試作の回数や輸入原料の調達状況によって前後します。表示ラベルの確認に時間がかかるケースもあります。
処方の知識がなくても相談できますか?
問題ありません。コンセプトやターゲット像だけを伝え、処方設計から受託先に任せる進め方が一般的です。想定する価格帯と、どのような方に届けたい商品かが決まっていれば、そこから具体化していけます。
GMP認定の工場で作る必要はありますか?
法律上の義務ではありませんが、健康食品GMPの適合認定は製造・品質管理体制を判断する客観的な材料になります。販売先の小売店やECモールによっては、取引条件として品質管理体制の説明を求められることもあります。
パッケージに書ける効果効能の範囲を教えてください
サプリメントは食品であるため、医薬品的な効能効果は表示できません。「治る」「改善する」「予防する」といった表現に加え、「痩せる」「免疫力アップ」なども使えません。栄養補給に関する事実の記載や、規格基準を満たす場合の栄養機能食品の定型文言が中心となります。

